製造現場の作業標準が長い間改訂されていない
製造作業で品質保証を行うには、作業標準は必要不可欠なものである。「製造の品質=バラツキ」と言えるほど、製造におけるバラツキはつきものである。人による違い、バラツキを排除するためには、作業の方法、手順、使用工具、測定・確認項目、判断基準を統一するなど、そのよりどころを見える化し、これを守らなければならない
工場での現場確認や製造工程の監査などの場面で作業標準を確認すると、作業標準がしっかりと作成・整備されている現場であっても、頻繁に改訂されている現場と、そうでない現場に分かれることに気づく。改訂頻度が多い現場では、毎年、さらにはもっと多い頻度で頻繁に改訂がされているが、一方ではここ数年改訂がされていない現場もある。ましてや初版が発行されて以来一度も改訂がなされていない現場もある。
作業標準の改訂は、何をきっかけに発生するかを考えると、誤記訂正を除けば、
① 製品の設計変更が発生した時
② 工程で不具合、品質不良、事故が発生した時(是正対策の反映)
③ 作業改善、設備改善を行った時(作業性、作業効率の向上)
が主なきっかけであろう。①の設計変更や②の工程不具合が発生しないので作業標準を改訂せずに済んでいるというのは、それだけ問題のない工程設計ができているということで望ましいことなのではあるが、③の改善もなしということで大丈夫なのだろうか。現場の管理監督者に聞いてみると、「必要がないというわけではないが・・・」と歯切れが悪い。聞かれて初めてハッとなる人もいる。中には「しっかりと完成しているから改訂が発生しない」という人もいるが、はたしてこれは良いことなのだろうか。
作業改善と作業標準を常にひも付けて意識しているか、また常に改善を意識しているかの違いであるように感じる。