前回まで4回にわたり、「CX(コーポレート・トランスフォーメーション)」について述べてきた。CXの先にどんな未来の経営や企業の在り方があるのか? そのための具体的なアクション、あるいは「CXを阻む日本企業独特の文化」についても触れてきた。
前回の「今月の3つのアクションプラン」では「変化を恐れないマインド」について提案した。とかく、変化を嫌がる風潮があるのが、日本企業。しかし、いつまでも既成の枠に捉われていたら、変革を起こすことはできない。そして、今回取り上げる「新規ビジネス」についても、二の足を踏み、後れを取ることになりかねない。
読者の皆さまは、そして、皆さまの企業は変化を受け入れ、新たな一歩を踏み出す準備が整っているだろうか?
ビジネス転換はどのように起こすか?
ビジネス転換の例は幾つかあるが、今回は「新規ビジネス」や「新規事業」を語る上で特に学びの多い事例を紹介したい。
GE(ゼネラル・エレクトリック)は、アメリカ合衆国を主な拠点とし、電気事業をルーツとする多国籍複合企業だ。「電力事業」、医療機器などを扱う「ヘルスケア事業」、石油やガスなどの「エネルギー事業」、「金融事業」、そして、航空機用エンジンを扱う「航空事業」の5分野でグローバルに躍進を続けてきた。GEはIoTの仕組みを構築したことで「モノづくり」の企業から「サービス」を提供する企業へと転換したのだが、その背景には2008年のリーマンショックがあるといわれている。
GEは「自社の強みは何か。それをさらに進化させ、クライアントやエンドユーザーに貢献できることは何か」を追求し、ビジネスモデルの転換を図ったことを記しておきたい。
現在、GEのDXは“失敗”だったともいわれるが、製造業の企業が自らの製品を起点にビジネスの領域を広げていく発想自体は正しく先駆的だったことからデジタルビジネス転換した新規事業の例として紹介したい。