シリーズ「なぜ、CXが進まない?ものづくりDXを阻む企業に巣くう根深い問題」
第1回 DXを目指す企業が直面する「8つの問い」とは何か?
第2回 製造業のDXはここから始める、「可視化」のための具体的アクション
第3回 製造業のDXの成否はここで分かれる、「全体最適」を正解に導く3ステップ
第4回 製造業のデータは宝の山だ、「新価値創造のドア」を開けよう
第5回 清水建設・山本金属製作所から学ぶ、「デジタルツイン」で会社はどう変わる?
第6回 ゑびやに学べ、「デジタルツイン構築はどんな人がどう進めるのが正解か?」

第7回 “古き良き”が邪魔をする、CXを目指す会社が直面する根本的な課題とは
第8回 働き方と企業はこう変わる、データドリブン経営の先に見えてくる未来
第9回 ポイントは5つ、これを実現できれば日本企業のデータドリブン経営は進む
第10回 3社の実例に学ぶ、「CXを阻む日本企業の組織的課題とその解決策」
■第11回 製造業の新規ビジネスの発想法、自らの強みをキャッシュポイントにしよう(本稿)


<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者フォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
会員登録(無料)はこちらから

 前回まで4回にわたり、「CX(コーポレート・トランスフォーメーション)」について述べてきた。CXの先にどんな未来の経営や企業の在り方があるのか? そのための具体的なアクション、あるいは「CXを阻む日本企業独特の文化」についても触れてきた。

 前回の「今月の3つのアクションプラン」では「変化を恐れないマインド」について提案した。とかく、変化を嫌がる風潮があるのが、日本企業。しかし、いつまでも既成の枠に捉われていたら、変革を起こすことはできない。そして、今回取り上げる「新規ビジネス」についても、二の足を踏み、後れを取ることになりかねない。

 読者の皆さまは、そして、皆さまの企業は変化を受け入れ、新たな一歩を踏み出す準備が整っているだろうか?

ビジネス転換はどのように起こすか?

 ビジネス転換の例は幾つかあるが、今回は「新規ビジネス」や「新規事業」を語る上で特に学びの多い事例を紹介したい。

 GE(ゼネラル・エレクトリック)は、アメリカ合衆国を主な拠点とし、電気事業をルーツとする多国籍複合企業だ。「電力事業」、医療機器などを扱う「ヘルスケア事業」、石油やガスなどの「エネルギー事業」、「金融事業」、そして、航空機用エンジンを扱う「航空事業」の5分野でグローバルに躍進を続けてきた。GEはIoTの仕組みを構築したことで「モノづくり」の企業から「サービス」を提供する企業へと転換したのだが、その背景には2008年のリーマンショックがあるといわれている。

 GEは「自社の強みは何か。それをさらに進化させ、クライアントやエンドユーザーに貢献できることは何か」を追求し、ビジネスモデルの転換を図ったことを記しておきたい。

 現在、GEのDXは“失敗”だったともいわれるが、製造業の企業が自らの製品を起点にビジネスの領域を広げていく発想自体は正しく先駆的だったことからデジタルビジネス転換した新規事業の例として紹介したい。

世界的複合企業のビジネス転換は、ものづくりへの「原点回帰」から生まれた。製造業を守るための、製造の枠を超えたビジネスの広がりには、学ぶところが大きい。