アマゾン株、過去1年で35%超下落

 一方、同社株は過去1年で35%以上下落した。 これはテクノロジー業界全般にわたる減速と、アマゾンの小売事業の成長鈍化が背景にある。アマゾンでは長年、株価が毎年少なくとも15%上昇するとの想定に基づき、株式報酬を付与してきた。

 その想定は1年前までおおむね正しかった。アマゾンの株価は17年から22年初頭にかけて、年平均約30%の上昇率で推移していた。しかしアマゾン株は現在1株約96ドルで取引されている。関係者によると、一部従業員の報酬プランは1株170ドル前後という想定に基づき計算されているという。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが入手した内部資料によると、アマゾンの人事部は最近、マネジャーに対し、この事実上の減給についてどのように従業員に伝えるべきかを記した文書を送った。会社の長期的な業績に集中し、株価が回復するまで株式を保有するよう促す内容だという。

コロナ禍の需要増で大量採用、一転して大量解雇

 アマゾンでは22年初頭、競争が激化する労働市場を背景に、米国オフィス職従業員の基本年収の上限をそれまでの16万ドル(約2150万円)から2倍以上の35万ドル(約4700万円)引き上げた。一部の関係者によると、同社は23年、1~4%賃上げを計画している。その一方で、価値が目減りする恐れのある株式報酬については、これ以上付与する予定はないという。

 アマゾンは現在、創業以来最も厳しい財政状況の真っただ中にあるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。同社は新型コロナウイルス禍の需要増に対応するため人員採用と設備投資を進めてきた。だが22年になるとその特需が終わり、成長が鈍化。軌道修正を余儀なくされた。22年11月には過去最大規模のレイオフ(一時解雇)に着手。23年1月までに計1万8000人のオフィス職従業員を削減した。

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