先端半導体の対中輸出規制

 これに先立つ22年10月、米商務省は先端半導体の中国への輸出を制限する措置を公表した。先端半導体のほか、関連する米国製の半導体製造装置やソフトウエア、人材なども対象に含め、これらを許可制にした。ただ、商務省はこちらも原則、許可申請を認めない方針だ。

 これに対し中国は「米政府は中国の台頭を食い止めようとしている」と反発。中国商務省は、米国の対中半導体輸出規制は不当だとし、22年12月12日に世界貿易機関(WTO)に提訴した。

 フィナンシャル・タイムズは、米中の技術戦争は一段とエスカレートしたと報じている。米国は、中国のAI(人工知能)、核兵器、極超音速兵器開発など軍事応用技術の開発を阻止しようとしている。中国に対する米国とその同盟国からの圧力が強まる中、同国は独自技術開発力の強化を狙っている。

日本企業にも影響

 こうした米国の動きは日本企業にも影響が及ぶとフィナンシャル・タイムズは報じている。米国は現在、日本、オランダとの3カ国協定について協議している。日本とオランダの半導体製造装置大手が中国に先端製造装置を輸出しないよう求めるという。

 バイデン大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は22年11月14日、インドネシア・バリ島で会談した。フィナンシャル・タイムズによると、対面での初の首脳会談で両氏は米中関係のさらなる悪化を避ける道を模索した。その一方で、バイデン氏は国家安全保障に関連する分野では手加減しないと強調した。