音響・車載機器メーカーとして80年以上の歴史を誇るパイオニアは、2010年以降から業績が悪化し、2019年には東証一部上場廃止にまで追い込まれた。しかし、その後は組織体制を見直し、新たに社内カンパニー制を導入。ソリューションサービス企業への転換を図り、見事V字回復を成し遂げた。本稿では、同社の社内カンパニーの1つであるモビリティサービスカンパニーのCCO 兼 CMO を務める石戸亮氏が、新事業を立ち上げた際の施策について語った。

※本コンテンツは、2022年9月20日(火)に開催されたJBpress/JDIR主催「第6回 マーケティング&セールスイノベーションフォーラム」の特別講演1「パイオニアにおけるメーカーがサービス事業化していくBtoBマーケティングのチャレンジ」の内容を採録したものです。(役職等は講演時点のもの)

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社内カンパニーを立ち上げ、ソリューションサービス企業を目指す

 1938年に創業したパイオニアは、「音のパイオニア」として昭和の時代に大きな成長を遂げ、世界に先駆けた技術で音響市場を席巻してきた。自動車機器にも力を入れ、1990年には市販モデルとして世界初のGPSカーナビカロッツェリア「AVIC-1」を販売し、カーオーディオ界で一世を風靡(ふうび)した。

 しかし2010年代からは業績不振が続き、2019年には非上場化の試練に見舞われることとなる。このまま衰退の一途をたどるかのように見えたが、苦難の時期を「再成長期」と捉えた同社は、新事業を立ち上げるべく社内カンパニー制を導入。ソリューションサービス企業へと大きくかじを切ることで、見事V字回復を遂げたのだ。

 新たに創設された社内カンパニーは、2つある。データやクラウドを活用したモビリティサービスを行う「モビリティサービスカンパニー」と、OEMや市販事業などのものづくり事業を行う「モビリティプロダクトカンパニー」だ。

 こうしたモビリティ領域におけるハード、ソフトを中心に、グローバルでソリューション事業を拡大していくというのが、再成長期にパイオニアが打った施策だった。

 カンパニーの中心となる人物には、社内の生え抜きの社員だけではなく、外部からも積極的にエキスパートを採用した。同社モビリティサービスカンパニーCCO 兼 CMO を務める石戸氏もまた、そのうちの1人だ。

 長年デジタルビジネスに携わってきた石戸氏は、自身の経験を生かしてモビリティサービス事業の立ち上げに関わり、生え抜きの社員と力を合わせてソリューション事業を拡大してきた。カンパニーのミッションは、「この1年で営業の商談につながるような案件を200%増やすこと」だったが、結果的にはそれを上回る240%増を実現した。