変革リーダーの祭典『JBpress World 2022』の中でも、注目されるセミナーの1つ「第7回マーケティング&セールス イノベーション フォーラム」では、現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラー氏が登壇。「The Future of Marketing」のタイトルで講演を行う。「経営者は、マーケティングを企業戦略の中心に置くべき」と説くコトラー氏の熱いメッセージを一部抜粋して紹介する。

<編集部からのお知らせ>
本記事でインタビューしたフィリップ・コトラー氏も登場するオンラインイベント「第7回マーケティング&セールス イノベーション フォーラム」を、2022年12月14日(水)、15日(木)に開催します!
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マーケティングミックスの『4P』を含む7つの戦術が重要

 ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院マーケティング学名誉教授のフィリップ・コトラー氏は、「近代マーケティングの父」と呼ばれ、マーケティングに関する数多くの論文を発表し、著作も多数にのぼる。コトラー氏が提唱する「STP分析」や「マーケティングミックス(4P)」は、普遍的なコンセプトとして、今なお世界中のマーケターから支持されている。

 STPはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ったもの。市場全体の中から自社が勝てる可能性の高い特定市場を選択するために市場を細分化(セグメンテーション)し、次に、参入すべき特定市場を選び出す(ターゲティング)。さらに、ターゲット消費者に自社の製品・サービスと競合の製品・サービスとの違いを理解してもらい、自社製品を選んでもらうための工夫をする(ポジショニング)というマーケティング戦略立案・実行の手法だ。

 そして、マーケティング戦略管理で行うのがマーケティングミックスだ。4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)のこと。STP分析でターゲット消費者や製品·サービスの訴求ポイントが明らかになれば、これら4つのPは自ずと決まるというものだ。講演では、近年は、これら4Pを含む「7つの戦術(7 Tactics)」が重要であると指摘する。

CEOの皆さんは、マーケティングについてどこまで知っているのでしょうか

 経営者は、マーケティングを企業戦略の中心に置くべき時代を迎えている。ビジネスにおいては、ファイナンスだけでなく、マーケティングも必要で、加えて昨今はITの素養も不可欠となっている。コトラー氏は学生に対して、「CEOやCxOになりたいのであれば、少なくともマーケティングとファイナンスの両方を学ぶべき」と伝えているという。

営業のVPはCMOの下にいるべき

 誰がマーケティングを管理すべきなのか。多くの人々は、「マーケティングは営業と一緒ではないか」と言う。営業を含め関連付けて管理することは必要だが、CMO(最高マーケティング責任者)という存在が現れてから、状況は大きく変わった。営業とマーケティングの間で摩擦が生じないためにも、営業のVP(ヴァイスプレジデント)はCMOの下に置き、CMOが一括管理すべきだとコトラー氏は言う。

CMOの役割は広く、企業を成長させるだけでなく、データアナリティクスを運用できる必要がある

 もし企業がCMOを雇うのであれば、それなりの支出を覚悟する必要がある。CMOは、企業の成長に寄与するだけでなく、データアナリティクスを運用できる能力があるからだ。「CMOという存在は多くの役割を担っています。マーケティング費用に対するリターンに対して責任を持つのはもちろん、財務や製造·生産に対しても良い影響を与えないといけません」(コトラー氏)。

1.0、2.0、3.0……。あなたの会社のマーケティングはどのレベルにあるか

 近著『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』(朝日新聞出版刊)の中で、コトラー氏はマーケティングの進化を以下のように説く。

 シリーズ1作目『コトラーのマーケティング3.0』は、製品中心のマーケティング1.0から顧客中心のマーケティング2.0へ、さらに人間中心のマーケティング3.0へという大きな変化を描き出した。
シリーズ2作目『コトラーのマーケティング4.0』では、デジタルに方向転換し、カスタマージャーニーの全工程でハイブリッドのタッチポイントを実現するために、新しいマーケティングの枠組みを紹介した。

 マーケティング5.0とは、人間を模倣した技術を使って、カスタマージャーニーの全工程で価値を生み出し、伝え、提供し、高めることだ。マーケティング5.0の重要なテーマの1つが、マーケターの能力を模倣することを目指す一連のテクノロジー―AI、NLP(自然言語処理)、センサー、ロボティクス、拡張現実、IoTなど―である。これらのネクストテクノロジーを組み合わせて活用することで、データドリブンマーケティングや、アジャイルマーケティング、予測マーケティングなどが実現するとしている。
講演では、「あなたの会社のマーケティングはどのレベルにあるか」とコトラー氏は問い掛ける。

 自社のビジネスだけでなく、世界を変革するための「The Future of Marketing(未来のマーケティング)」にご期待いただきたい。

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第7回マーケティング&セールス イノベーション フォーラム」ではこの他、元トヨタ自動車でレクサスブランドマネジメント部長を務めた高田敦史氏、キユーピー上席執行役員の藤原かおり氏、東証プライム上場企業でもある北の達人コーポレーション社長兼現役WEBマーケッターの木下勝寿氏の講演なども予定されている。

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