アマゾンはサイト内で広告事業を展開しており、サードパーティーが商品検索の広告枠を購入できるようにしている。前者によってカスタマーサービスの品質が低下し顧客に不安を与えている。後者によって検索精度が低下し、顧客の不満が高まっている可能性があるとアナリストはみている。
エバコアISIは、「サードパーティーの拡大と検索広告が、マーケットプレイスの質を低下させた可能性がある」と指摘する。「アマゾンに対する評価の低下は、近年競合小売業者が自社サービスの質を向上させたことが要因でもある」(エバコアISI)。
アマゾンの従業員らによると、同社は顧客の不満が高まっていることを認識しており、さまざまな施策を講じている。例えば検索履歴に基づき、個々の顧客に合わせたアルゴリズムを採用することで、ユーザーエクスペリエンスの向上を図っている。
アマゾンの広報担当者によると、傘下のスーパーマーケット「ホールフーズ・マーケット」のセクションでは厳選した商品を提供している。21年は模倣品や詐欺などの不正行為の対策に巨額を投じた。悪質なサードパーティーによる偽の評価は検索結果に影響を及ぼすため、その対策も講じているという。
偽評価や模倣品の横行で対策強化
かねて、アマゾンのECサイトには偽の評価や模倣品が横行していると指摘されており、同社は対策に力を入れている。22年7月には、SNS(交流サイト)のFacebook上で活動するグループ1万件以上の管理者を、アマゾン本社のある米ワシントン州の裁判所に提訴した。
アマゾンによれば、これらのグループは、アマゾンのサイトに偽の評価を投稿する人を募っていた。金銭などと引き換えに、販売につながる高評価を投稿するよう依頼していた。カーステレオやカメラの三脚などアマゾンサイトで販売されている商品数百点が対象になっていた。こうした行為は、米国や英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本のサイトで横行している。
また、アマゾンが22年6月に公表した模倣品対策に関するリポートによると、同社は昨年、取り組みに9億ドル(約1300億円)以上の費用と1万2000人以上のスタッフを投じた。未然に食い止めた悪質アカウントは250万件以上。300万点以上の模倣品を突き止め、顧客への被害と他の流通網での再販を阻止したという。詐欺や権利侵害、模倣品、粗悪品といった重大な問題があった出品は計40億件以上に上り、消費者に被害は及ばなかったと説明している。