南部・深圳に一部の生産移管

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、鴻海がこうした事態を受け生産能力の一部を中国中部の鄭州から南部の深圳に移す計画だと報じた。ただ、ロイターによると鄭州工場はiPhone世界出荷台数の大半を手がけており、この状況が長引けば生産に大きな影響が出る。

 アップル製品の市場動向やサプライチェーン(供給網)情報に詳しい中国TFインターナショナル証券のミンチー・クオ氏は、この混乱で世界のiPhone生産能力の約10%が影響を受ける可能性があると指摘している。

中国依存を低減、インドに注目

 アップルは製造分野の地理的な中国依存を低減するため、他のアジア諸国での生産増強に力を入れている。これに先立ち、米銀大手JPモルガン・チェースのアナリストらはアップルが25年までにiPhone生産の25%をインドに移管する可能性があると指摘していた。22年9月下旬にはアップルが初めて新型iPhoneのインド生産を、その販売開始と同じタイミングで始めたと報じられた。

 中国では、上海などの産業中心地で敷かれたロックダウン(都市封鎖)により、サプライチェーンや物流網が混乱した。これが消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。こうした中、アップルは主要サプライヤーに対し、インドなどの中国外の製造拠点で生産を増やすよう求めている。

 ただ、iPhoneのインド生産はいまだ規模が小さい。香港のカウンターポイント・リサーチによると、アップルの世界製造規模に占めるインドの比率は21年時点で約3.1%だった。22年は5〜7%に上昇するとみられるものの、現在の中国の比率である95.3%と比較すると圧倒的な差だという。

 アップルのサプライチェーンは中国の製造業に重要な役割を果たしているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。アップルにとって最大のサプライヤーである鴻海は19年に鄭州から約320億ドル(約4兆7200億円)の製品を海外に出荷し、鄭州にある鴻海の中国子会社は同国最大の輸出業者になった。鴻海グループ全体の中国からの輸出額は21年に同国全体の3.9%を占めたという。