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DXという言葉は、企業によって実にさまざまな意味合いを持つ。ソニーグループの金融事業を担うソニーフィナンシャルグループは金融機関としての自社と顧客との関係に着目し、「お客さまのためのDX」を前面に打ち出している。金融機関がデジタルデータを用いてお客さまに価値提供を考えていく際に、何が必要なのか。基本にあるのは、「データの蓄積と利活用」だ。その実現の具体的なプロセスや、DX人材活用のための組織の在り方について、同グループの金融持株会社、ソニーフィナンシャルグループ株式会社CDOの齋藤裕美氏が語る。
※本コンテンツは、2022年8月23日(火)に開催されたJBpress/JDIR主催「第3回 金融DXフォーラム」の特別講演4「金融機関における『お客さまのためのDX』のありかた」の内容を採録したものです。
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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72370
ライフスタイルの変化、規制緩和、フィンテックの台頭など、金融機関の経営環境は激変の一途。今やDXによる変革は待ったなしです。金融業界におけるDXキーパーソンへのインタビューにより、DX戦略の全体像から、データ活用、CX、カルチャー変革、デジタル人材育成まで、金融DXの最新の事例を取り上げます。
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「人」と「テクノロジー」を企業ビジョン実現の両輪に掲げる
「私がデジタルの領域で仕事を始めた1999年にサービスを開始した、NTTドコモのiモードが2026年は終了します。1つの時代の終わりとともに、デジタルの歴史の長さも感じます」と振り返る、ソニーフィナンシャルグループ(株) 執行役員グループDX推進担当 兼 CDO(Chief Data Officer)齋藤裕美氏。同氏は三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を皮切りに、一貫してデジタル領域でキャリアを積み、2022年2月にソニーフィナンシャルグループ(株)に移籍。現在はCDOとして、同グループのDX推進をリードしている。
ソニーグループは、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融の6つの事業セグメントを持つ。その中でソニーフィナンシャルグループ(株)は、金融事業を束ねる中間持ち株会社だ。傘下にソニー生命保険株式会社、ソニー損害保険株式会社、ソニー銀行株式会社の3社の他、介護事業やベンチャーキャピタルなどがあり、保険と銀行が同じグループ内に存在しながら、なおかつソニーグループ(株)の傘下というユニークな構成になっている。
ソニーグループのパーパスは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」。そして、ソニーフィナンシャルグループのビジョンは「心豊かに暮らせる社会を目指し、人に寄り添う力とテクノロジーの力で、一人ひとりの安心と夢を支える金融グループになる」というものだ。金融機関でありながらビジョンのキーワードに「テクノロジー」を入れている点が特異であるとしつつ、「『人』と『デジタル』が当グループのビジョン実現の両輪となっています」と齋藤氏は語る。
今回の講演で取り上げるのは、ソニーフィナンシャルグループの「お客さまのためのDX」だ。NTTデータ経営研究所が定義する「攻めのDX」「守りのDX」(上図)に照らすと、これはビジネスモデルの抜本的な改革を行う「攻めのDX」の中の、「顧客接点の抜本的改革」にあたる。顧客に対してデジタルやデータを活用してCXを向上させ、競争力を向上させるのが狙いだ。