ウォール・ストリート・ジャーナルによると、22年初頭、企業がオフィス勤務と在宅勤務を並行するハイブリッドワークを推進していたため、企業向けパソコンは好調だった。しかしここ数カ月でそうした企業も支出規模を縮小している。
PC出荷、90年代半ば以来最も急激な落ち込み
米調査会社のガートナーが先ごろ公表した22年7~9月期のパソコン世界出荷台数は6799万6000台で、前年同期から19.5%減少した。ガートナーが統計を取り始めた1990年代半ば以来最も急激な落ち込みで、4四半期連続で前年同期を下回った。
ガートナーの北川美佳子氏によると、サプライチェーン(供給網)の混乱はようやく緩和されたものの、消費者と企業向けの両市場でパソコン需要が低迷している。このことが過剰在庫問題を引き起こしているという。
「過去2年間に多くの消費者がパソコンを購入したため、大規模な販促キャンペーンや値引きが行われたにもかかわらず、新学期セールは期待外れに終わった。一方、法人向けは地政学的不確実性や景気の不透明感によって、IT(情報技術)支出が選択的になり、パソコンは優先順位リストの最上位ではなくなった」(北川氏)
上位3社が軒並み2桁減
米調査会社のIDCによると、22年7~9月のメーカー別パソコン出荷台数は、1位から中国レノボ・グループ(1688万台)、HP(1270万6000台)、デル(1196万3000台)、米アップル(1006万台)、台湾エイスース(554万台)の順。
このうち、上位3社の出荷台数は前年同期から16.1%、27.8%、21.2%それぞれ減少した。5位のエイスースは同7.8%減だった。一方で、アップルは同40.2%増。IDCによると大手各社はいずれも受注減が生じ、出荷台数が減少した。これに対し「アップルは中国でロックダウン(都市封鎖)が敷かれた4~6月期に供給できなかった分を補うべく、7~9月に供給台数を増やした」とIDCは分析している。