テスラCEO、スペースX CEOのイーロン・マスク氏(2022年8月25日、写真:ロイター/アフロ)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役、法政大学大学院客員教授)

 米国のEV大手、テスラは2022年9月30日夕方、カリフォルニア州パロアルト市にある同社の研究拠点で行われた「AI day 2022」で人型ロボット「Optimus(オプティマス)」のプロトタイプ(試作機)を初公開した。

2022年9月30日の「AI day 2022」のステージで人型ロボット「Optimus(オプティマス)」のお披露目を行うテスラのイーロン・マスクCEO(出所:テスラの配信動画)

 この人型ロボットは高さが約170cm、重量は73kg。人体を模した手足の関節を持ち、関節を動かすために28個の作動装置がついている。プロトタイプは配線が剥き出しで動きもまだぎこちないものの、テザー(ロボットを支える紐のようなもの)なしでステージをゆっくり歩行し、会場に手を振って見せた。

(参考)テスラの配信動画
https://www.youtube.com/watch?v=ODSJsviD_SU

 この日のプレゼンテーションではこれまでの開発の風景も紹介され、オプティマスが荷物を運んだり、プランターの植物に水やりしたりする姿も動画で映し出された。

 オプティマスはテスラのイーロン・マスクCEOの掛け声で2021年に開発が始まった。開発に使われている最先端テクノロジーはAI、カメラ、各種センサーなどテスラの自動運転を支えるオートパイロットの技術だという。テスラにとってみれば、(いまだに実現できていない)クルマの完全自動運転技術とロボットの制御技術には共通点が多いので、開発プロセスを効率化できるだけでなく、相乗効果を生み出す可能性が高い。

 テスラは、将来的には人型ロボットを大量生産することで製造コストを下げ、クルマを下回る2万ドル(290万円)未満の販売価格を目指すという。

テスラの人型ロボット「オプティマス」のコンセプトへ向けた進化。今回動いたのは配線剥き出しの中央のタイプで、外装をまとった右のタイプは残念ながらまだ動かない(出所:テスラの配信動画)
拡大画像表示