同社は、プライムデーの販売額を公表していない。だが米調査会社のインサイダー・インテリジェンスは、米国における22年のプライムデー販売総額が前年比17%増の77億6000万ドル(約1兆1200億円)だったと推計している。かつて同約65%の伸びを示したこともあったプライムデーの米国販売総額は、ここに来て減速傾向にあるという。

 米労働省が先ごろ発表した22年8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.3%上昇した。約40年半ぶりの高い伸びだった22年6月の9.1%からは縮小したものの、インフレ圧力は依然として強い。こうした中、アマゾンは年末商戦が本格化する11月下旬の「ブラックフライデー」よりも先にセールを開催し、一層の物価上昇を嫌う消費者を取り込みたい考えだ。

消費行動に変化、生活必需品を優先

 一方で、22年7月に開催したプライムデーでは、例年とは異なる消費行動が見られたと指摘されている。

 例えば、米調査会社のニューメレーターによると、期間中のアマゾンでの平均注文金額は52.26ドル(約7562円)で、21年6月に開催したプライムデーの44.75ドル(約6475円)から16.8%上昇した。

 ただ、消費者は高額商品を避け、より低価格の商品を購入したとみられている。ニューメレーターによると、今年のプライムデーで売れた商品のうち約58%が20ドル(約2890円)未満で、100ドル(約1万4470円)以上の商品はわずか5%だった。アンケートでは、プライムデー利用者の約34%が「割引価格で購入するためにプライムデーを待った」と回答。28%が「必需品でないため、セール品の購入を見送った」と答えた。

 こうした中、インサイダー・インテリジェンスは、初の年2回目となる今年10月のセールについて、主役となるのは生活必需品ではなく、ギフトや高額商品だと予測している。

 (参考・関連記事)「アマゾンのプライムデー、インフレが消費行動に変化 | JDIR