ヘルスケアプラットフォーム企業の買収に名乗り
一方、アマゾンは他のヘルスケア関連事業について、撤退や規模縮小などの計画変更を明らかにしていない。同社はこの分野で野心を示しており、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)も最優先事項として掲げていた。数日前にはヘルスケアプラットフォーム運営の米シグニファイ・ヘルスを巡り、アマゾンや、米ドラッグストアチェーン大手CVSヘルス、米医療保険・管理医療サービス大手ユナイテッドヘルス・グループが買収に名乗りを上げていると報じられた。
アマゾンは18年に約8億ドル(約1100億円)で米国のオンライン薬局企業ピルパックを買収した。この企業は患者が医師からもらった処方箋をネットで受け付け、複数の薬を服用時間帯ごとに分けて一包化し、米全土に宅配していた。アマゾンは20年11月、同事業を基に処方薬を扱うオンライン薬局「アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy)」を立ち上げた。
診療サービスの米社を39億ドルで買収
同社は22年7月、米国で診療サービスを手がける米ワン・メディカルを、総額約39億ドル(約5300億円)で買収することで両社が合意に達したと明らかにした。ワン・メディカルは、初期診療(プライマリーケア)を対面やオンラインで受けられるサービスを提供している。22年3月末時点で、全米25市場で計188の診療所ネットワークを運営しており、76万7000人の会員、8500社の法人顧客を持つ。今後は、ワン・メディカルの株主や規制当局の承認などを経て買収手続きを完了させる計画だ。
ただ、アマゾンは、ヘルスケア分野で激しい競争に直面することになる。この市場では、初期診療医の獲得を狙うユナイテッドヘルス傘下のオプタム(Optum)やCVSヘルス、医師の雇用を拡大している病院大手などがアマゾンの強力なライバルになると指摘されている。
(参考・関連記事)「アマゾン、5300億円で米診療サービス企業買収へ | JDIR」