維持率とロイヤルティーも低下傾向
ネットフリックスなどの大手が、顧客基盤を拡大できない理由の1つには、顧客離反率の上昇もあるという。ネットフリックスは22年1~3月期の決算発表で、会員数が20万人減少したと明らかにした。過去10年で初めてマイナスに転じた。同社は続く22年4~6月期決算でも、97万人減ったと明らかにした。
顧客維持率の低下ははっきりと表れているという。アンテナによると、ネットフリックスでは、年初に加入し、その半年後も会員であり続けた人の割合が20年時点で71%だった。これが21年は62%に、22年は55%に低下した。
顧客ロイヤルティー(愛着感)維持力も徐々に弱まっているという。22年4~6月にネットフリックスを解約した人のうち、それまでの2~4年間ネットフリックスに加入していた人の比率は18%だった。この比率は2年前で13%だった。
パラマウント、ウォルマート会員に動画配信
こうした中、ほぼ飽和状態にある米国市場では、新規顧客獲得のための競争が激化しており、自社サービスを他社の顧客に提供する動きが出ている。22年8月15日には、米パラマウント・グローバルが動画配信サービス「Paramount+」を米小売り最大手ウォルマートのサブスク型サービス「Walmart+」の会員向けに提供することが明らかになった。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、動画配信「Peacock」を手がける米ケーブルテレビ大手コムキャストや、ディズニーもウォルマートと協議中だという。
サービス統合、安価に提供
また、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、映画・ドラマ配信のHBO Maxを米アマゾン・ドット・コムの「Prime Videoチャンネル」で復活させるべく交渉中だ。ロイター通信によると、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーはHBO Maxと、リアリティー番組などを手がける「Discovery+」統合し、単一のサービスとして提供する方針だ。
ディズニーもすでにDisney+、Hulu、ESPN+をバンドルしている。それぞれ個別に契約するよりも安価に提供するなど、さまざまな施策で顧客維持率向上と新規顧客獲得を狙っている。
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