ロシア政府、グーグルを締め出さず

 ロシア軍がウクライナに侵攻した22年2月24日以降、ロシア当局は米ツイッターのサービスへのアクセスを制限したり、米メタの「フェイスブック(Facebook)」と「インスタグラム(Instagram)」を遮断したりするなどしてSNS(交流サイト)の情報統制を強めた。

 グーグルはウクライナ侵攻後、ロシアで検索とYouTubeの広告を停止。モバイルOS「Android」向けのアプリストアでは有料アプリやサブスクリプション(定額課金)の提供をやめた。また、ウクライナ侵攻に関してYouTube上で偽情報を拡散したとし、政府系メディア動画の配信を全世界で停止した。

 こうした中でもロシア政府は、グーグルのサービスを締め出さない意向だ。ロイターによると、ロシアの情報政策に関する議会委員会副委員長であるアントン・ゴレルキン氏は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで記者団に対し「グーグルには今のところ、メタやツイッターと同じ運命をたどるリスクはない」と語った。

 同氏は「サービス遮断は非常手段であり、グーグルとYouTubeは、まだこの合理性の境界を越えていない。だが、彼らはロシアとの情報戦争に関与している」とも述べたという。

 ロイターによると、YouTubeはロシアで約9000万人の利用者を抱える超人気動画投稿サービス。同国には類似サービスがあるものの、YouTubeに取って代わるような規模には至っていない。ロシアが今もYouTubeなどグーグルのサービスへのアクセスを容認している背景にはこうした事情もあると指摘されている。

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