アップルは20年11月にM1を発表し、同半導体搭載の薄型ノート「MacBook Air」や、高性能ノート「MacBook Pro」の普及モデル、デスクトップ型「Mac mini」を発売した。

 21年5月にはM1搭載のデスクトップパソコン「iMac」も発売。21年10月にはM1シリーズ搭載のMacBook Pro高価格帯モデルを発売した。そして先ごろ(22年3月)、M1シリーズ搭載のデスクトップ型新機種「Mac Studio(マック・スタジオ)」を発売した。

Macの年間売上高23%増

 アップルのMac事業の業績はここに来て向上している。21年度のMac売上高は前年度比23%増の351億9000万ドル(約4兆7300億円)だった。

 また、22年1~3月期におけるMacの売上高は前年同期比14.6%増の104億3500万ドル(約1兆4037億円)で、同社のハードウエアカテゴリーの中で最も高い伸びだった。CNBCによると、この時の電話会見でティム・クックCEO(最高経営責任者)は「M1搭載Macに対する顧客の反応は驚くべきものだ。供給に制約があったものの、売り上げを14%伸ばすことができた」と述べた。

安価な「MacBook SE」?

 一方でマイクロソフトのWindows事業は、米デル・テクノロジーズや米HP、中国レノボ・グループなどのパソコンメーカーから得るライセンス収入が主な収益源だ。マイクロソフトの全売上高の7.5%、粗利益のほぼ11%に相当すると、米モルガンスタンレーのアナリストは分析している。また、Windowsライセンスのほとんどは、法人顧客によってもたらされている。 これに対し、アップルは消費者市場でMacの売り上げを伸ばしている。

 マイクロソフトの元コーポレートバイスプレジデント、ブラッド・ブルックス氏によると、消費者市場と法人市場には正の相関関係があるという。つまり、家庭でのMacの使用が増えれば、職場でMacのシェアも増えていくという。

 米調査会社ムーア・インサイツ&ストラテジーのパトリック・ムーアヘッドCEOは、「もしアップルがスマホの廉価モデル『iPhone SE』のような、より安価なMac(例えば『MacBook SE』)を市場投入すれば、アップルはWindowsのシェアをさらに奪うことになる」と、指摘している。

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