米調査会社のガートナーが7月12日に公表したリポートによると、2021年4~6月期の世界パソコン出荷台数(速報値)は約7160万台で、前年同期からの伸び率が4.6%にとどまった。パソコン需要は依然、新型コロナウイルス前の水準を超えて推移している。しかし、21年1~3月期と比較すると大幅に鈍化した。
「過去20年で最大の伸び」から一転
これに先立つ4月にガートナーが公表していた21年1~3月期のパソコン出荷台数(速報値)は約6990万台で、前年同期から32%増。この伸び率はガートナーが2000年に統計を取り始めて以来最大。
20年初頭は、新型コロナの影響でサプライチェーン(供給網)の操業や販売店の営業が一時停止となり、著しく減少していた。それに対し、今年初頭は在宅の広がりによる需要増や、前年の反動で大幅増を記録した。
だが、こうしたパンデミックによるパソコンブームは、世界的な半導体不足によって抑制されている。ガートナー調査ディレクターの北川美佳子氏によると、半導体不足やその後に続いた他の部品の遅延により、法人向けノートパソコンの供給リードタイムが最大120日に延びた。また部品価格が上昇しており、これが完成品の価格上昇にもつながっている。割高な販売価格によってパソコン需要は今後半年から1年程度、低下すると北川氏はみている。
アップル19.7%増と伸び目立つ
21年4~6月期のメーカー別出荷台数を見ると、首位は中国レノボ・グループで、前年同期比3.6%増の1727万8000台だった。2位は米HPで同11.3%減の1430万1000台。レノボの伸び率は市場全体のそれを下回った。HPは法人向けノートパソコンの部品調達で苦戦し、北米とEMEA(欧州・中東・アフリカ地域)の台数が落ち込んだ。