神奈川県では、身近な活動を通じてSDGsの理解と地域活性化を図る「SDGsつながりポイント」を実施している。この施策から、新たな地域住民のつながりやコミュニケーションが生まれ、コミュニティーの活性化が複数箇所で起きている。アプリを活用したこの施策は、日常生活の中のSDGsにどのように結び付き、変化を生んでいるのか。このつながりポイントを通して、「SDGsの自分ごと化」と「地域活性化」を推進する、神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室SDGs推進グループ 清木信宏氏、小佐田亮氏へ話を聞いた。
「いのち輝く神奈川」とSDGs
同県では、黒岩祐治氏の知事就任後の2012年3月に「かながわグランドデザイン基本構想」を策定した。これは、”県民一人ひとりのいのちを輝かせるとともに、人やものを引きつける魅力を持った神奈川の実現をめざす”という目的で、同県が目指す未来像を示したものだった。以降、医療や環境、エネルギーなどのさまざまな政策分野を連携させて取り組んできた。その後、2015年に国連が17の目標からなるSDGsを採択したが、同県は、既に推進する方向性と極めて近しいものだと気付いたという。
この経緯もあり、同県ではSDGsへの取り組みを積極的に行っている。2018年6月には、「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」の両方に選出。同時に、横浜市と鎌倉市もSDGsモデル事業に選定された。そして、現在7自治体が選出されており、選出自治体数は全国の都道府県で最多となっている。
同県のSDGsの取り組みは、「企業向け」「県民向け」の2つに分かれている。SDGsは包括的であることから、いかに一人一人の日常に落とし込んでもらい、アクションにつなげていくかが課題だったという。そのため、同県では「SDGsの自分ごと化」を意識した具体的なアクションを発信するとともに、地域に根付くSDGsの推進を行う方向性を示したのだ。
例えば、鎌倉の海岸にシロナガスクジラの赤ん坊が漂着し、その胃からビニール袋が出てきたことがあった。同県では、この事例を絡めながら、廃棄されるプラスチックごみをなくす「かながわプラごみゼロ宣言」を発表し、県民への理解を促していった。そして、日々の生活には、“楽しみながら自然と活動を行っていた”という演出がアクションへ直結するのではないかという考えから、官民連携で新たな施策を推進していったのだ。