アマゾン ロゴ イメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムの電子商取引(EC)の商慣行を巡り、米首都ワシントンのラシーン司法長官が提起していた反トラスト法(独占禁止法)訴訟で、裁判所が原告側の訴えを棄却したと、米ウォール・ストリート・ジャーナル米ニューヨーク・タイムズなどが3月18日に報じた。

米首都のラシーン司法長官「戦い続ける」

 一審にあたる首都ワシントン(コロンビア特別区)の上級裁判所が3月18日に口頭弁論を開き、原告側の訴えを棄却するよう求めたアマゾン側の請求を認める判断を示した。

 ワシントンのラシーン司法長官側は声明で「自社に集中する力を利用して、競争の場を不当に有利なものにしているアマゾンに責任を負わせる。理にかなった反トラストの法理を発展させるために戦い続ける」と述べ、控訴する意向を示した。アマゾン側のコメントは得られていないという。

「マーケットプレイスで価格拘束」

 ラシーン司法長官は2021年5月、外部の業者が出品するマーケットプレイスで、アマゾンが業者に対し、他のサイトよりも安く売るよう指示し、価格を拘束したとして反トラスト法違反の疑いで同社を提訴した。

 訴状によると、アマゾンは過去に米国の業者に対し、自社サイトでの価格よりも安く他者サイトで売ることなどを禁じていた。同社は19年3月にこの規定を撤廃し、新たな「公正価格規定」を設けた。だが、ラシーン司法長官は事実上旧規定と同じ内容だとして、これを批判した。

 この「公正価格規定」とは、出品業者が価格を自由に決めることができるというもの。ただ、アマゾンは他社ウェブサイトをモニターし、業者がアマゾンへの出品よりも安く販売していないかどうかをチェックしている。もし、他社サイトでより安価な商品が見つかれば、アマゾンはその業者の同じ商品を自社サイト上で積極的に表示しない。

 ラシーン司法長官は、「アマゾンが結ばせている契約によって、業者は他社サイトでより安価に販売できなくなり、消費者に不利益をもたらしている」と指摘した。

 例えば出品業者は米ウォルマートのサイトでより安価に商品を販売したいと考えるものの、その業者はウォルマートに対し、アマゾンでの販売価格より高くするよう要求する。ウォルマートでの低価格がアマゾンに見つかれば、アマゾンにおける露出が大幅に減ると懸念しているという。