カリフォルニア州Google本社(写真:AP/アフロ)
米グーグルが、スマートフォン利用者の同意を得ずに位置情報を記録していたとして、米首都ワシントンの司法長官が同社を提訴した。テキサス州やインディアナ州、ワシントン州の司法長官も各州で同様の訴訟を提起した。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが1月24日に報じた。
設定変更後も位置情報を収集
首都ワシントンのカール・ラシーン司法長官が同地区の上級裁判所に提出した訴状によると、グーグルは利用者に対し「位置情報履歴などの設定画面でデータ提供を拒否(オプトアウト)すれば、当社は位置情報を収集しない」と説明していた。
しかし実際は、検索エンジンからの情報や地図アプリ、無線通信網「Wi-Fi(ワイファイ)」、近距離無線技術のブルートゥースを通じて利用者の移動情報を追跡していたという。
ラシーン司法長官によると、「Google Search」や「Google Maps」のほか、「YouTube」などのアプリからもデータを収集しており、米アップルの「iPhone」や韓国サムスン電子のAndroid搭載端末など、機種を問わずすべてのスマホが対象になっているという。
「選択した設定にかかわらず、消費者には位置情報の収集、保存、使用をグーグルに許す以外の選択肢はない。簡単に言えば、利用者のモバイル機器が位置データへのアクセスを拒否するように設定されていても、会社は利用者の位置を確認し続ける方法を知っている」(ラシーン司法長官)
グーグル「不正確で古い主張に基づいた訴訟」
司法長官は罰金の支払いと、不正手段で得たデータ、それらデータを利用して開発したソフトウエアの没収を求めている。一方、グーグルはこれに反論している。同社の広報担当者は「司法長官は不正確で古い主張に基づいて訴訟を提起した。当社は常にプライバシー機能を製品に組み込み、位置情報の強固な制御機能を提供してきた。しっかりと自社を守り、事実を明確にしていく」と述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オンライン上のプライバシーと消費者保護を提唱する非営利団体センター・フォー・デジタル・デモクラシーのジェフ・チェスター氏は今回の訴訟について、「米連邦取引委員会(FTC)が、この種の慣行を抑制するための取り組みを始める新たなきっかけとなるだろう」と述べている。
FTCは、グーグルなどによるデータ収集行為を対象とする新たなオンラインプライバシー規則を検討中だという。また米議員らは、児童保護を含むプライバシー保護法案を検討中で、超党派の支持を得ているという。
グーグル、米で複数の訴訟に直面
グーグルは米連邦政府や州政府から複数の反トラスト法(独占禁止法)訴訟を提起されている。うち2件はテキサス州など10州の司法長官と、コロラド州など38州・地域の司法長官によるものでいずれも2020年12月に提起された。
もう1件は米司法省が20年10月に提起した。これらの訴訟ではグーグルの検索サービスや検索広告、広告配信事業の商慣行を問題視している。さらにもう1件はユタ州など米37州・地域の司法長官が21年7月に提起した。こちらはアプリ配信を独占した疑いがあるとされる。
グーグルはこれらに対して真っ向から反論。「訴訟は無意味だ。法廷で根拠のない主張から身を守っていく」などと述べ、政府と全面的に争う姿勢を示している。このうちテキサス州などの司法長官が提起した訴訟については22年1月21日に、訴えの棄却を申し立てた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アリゾナ州の司法長官が20年5月にグーグルを同州で提訴した。今回と同様の行為を問題視している。このときの訴状は、グーグルの位置情報収集行為が利用者への説明と矛盾していることを報じたAP通信の記事を引用している。
(参考・関連記事)「グーグル、独禁訴訟 第4弾に直面 | JDIR」






