米、ロシアへのハイテク禁輸を発動

 一方、米国は2月24日、日本や欧州連合(EU)などと協調し、ロシアへのハイテク製品の輸出規制を発動した。半導体や通信部品、センサーなどの特定の製品の輸出規制を強化するもので、域外適用となる。

 つまり米国製のデバイスや、ソフトウエア、設計などを採用して米国外で製造された製品も禁輸対象となる。これは米政府が20年9月に中国のスマホメーカー華為技術(ファーウェイ)に適用した規制モデルを転用したものだと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 ハイテク製品のサプライチェーン(供給網)には米国の機器やソフトウエアが広く存在するため、世界中の多くの企業が華為に製品を販売できなくなった。これにより、スマホ用の高性能半導体や設計技術、ソフトウエア、製造装置などの調達が困難になり、華為のスマホ事業は失速した。

 華為は、20年4~6月期に世界スマホ出荷台数で初めて1位になったが、この輸出規制が響き、同年7~9月期に2位に後退。21年には5位圏外に転落した。これについて英フィナンシャル・タイムズは、「華為は、かつて重要な柱であったスマホ事業から離れ、ビジネスの再構築を余儀なくされている」と報じている。

  ウォール・ストリート・ジャーナルは専門家の話として「西側の輸出規制を軽視する中国のテクノロジー企業は、それらの国から罰せられるリスクがある」と報じている。香港の調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスのアナリストは、「ほとんどの中国企業にとって、ロシアは市場が小さすぎて、先進国市場から締め出されたり、制裁を受けたりするリスクに見合うだけの価値はない」と指摘する。

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