米テック大手、ロシアと西側から圧力受ける

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国のテクノロジー大手はロシアと西側の双方から圧力を受けていると報じている。「彼らのビジネスは地政学的な出来事によって圧迫されており、その傾向は近年エスカレートしている」(同紙)という。

 同紙によると、米テック大手は現地の法律を順守するために支出を増やしている。これにより、売り上げが伸び悩み、利益が減少している。またサービスや情報へのアクセスが制限される中、企業は「自由な情報発信」という米国の価値観を後押しするべきか、相反する現地の法律を順守するべきかで揺れているという。

 ある広告業界アナリストは、「企業はサービスを提供するために、以前より多くの人員を雇わなければならず、ビジネスの足かせになっている」と指摘する。

 例えば、グーグルに対する各国政府からのコンテンツ削除要請は、15年から5倍の年約5万件に達した。フェイスブックに対する削除要請は21年6月末までの1年間で前年比4割増の約9万件となった。

 ロシアにはSNS「VKontakte(フコンタクテ)」と検索サービス「Yandex(ヤンデックス)」があり、いずれの市場シェアもフェイスブックやグーグルより高い。だが、フェイスブックやグーグルにとってロシアは依然として巨大市場だ。

 グーグルやフェイスブック、ツイッターで政策コミュニケーションを担当した経歴を持つニュー・ウェクスラー氏は、「広告市場の規模が小さな小国では一部の企業が政府の要求や規則を無視する場合があるかもしれないが、市場規模が大きい大国でその判断はより難しくなる」と指摘する。

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