では、どのように、「シェアリング」の成功ケースを作ればよいのだろうか。そのために筆者は、「シェアリングのチェックリスト」を使っている。これを使うことで、成功する可能性が高いシェアリングビジネスを考えることができる。
例えば、地方の空き家問題などは、データ、デジタルとシェアリングという「ビジネスの仕掛け」で解決できる可能性があり、古民家や空き別荘などや、その庭を1泊単位で使えるキャンプ、グランピング(高級キャンプ)などをベースとして、利用者価値を高めたサービスアイデアを考えることができるだろう。
ある高級自動車メーカーのシェアリング活用例
シェアリングは、必要なモノを低価格で消費者に提供できるという特徴を持ち、これが顧客体験価値を高める手段になる。最初から買わないで、まず使ってもらって利用価値を確かめてもらい、購入や利用につなげる方法なども有効な手段となる。
ある海外の高級自動車メーカーは、自社の高級車を利用者に販売するためにシェアリングを活用している。シェアリングは、自社の自動車の販売台数を下げてしまう可能性があるが、このメーカーは所得面などで、自社の自動車を買うことがなかった消費者層にシェアリングで体験してもらい、価値を感じてもらうことをビジネス戦略としている。
この事例は高級車だが、自転車、別荘といったモノの体験にとどまらず、新規ビジネスにも活用できる。新規ビジネスを開始する際に必要な専門知識を持つ人材を自社で採用すると固定費負担が高くなるので、変動費にするために「スキルシェアリング」を活用したり、店舗も自社で新たに準備するのでなく、「店舗シェアリング」を使うなど、効率的なビジネスを行える可能性がある。
このように、シェアリングは、余剰資産の共有だけでなく、自社商品やサービスの新規客拡大や、既存客の満足度向上に使うことも可能である。
それには、シェアリングを自社のメイン商材と競合する「厄介なもの」と捉えるのではなく、シェアリングの特徴を理解して、自社のビジネス戦略の中で、どこで使えば自社商品やサービスの価値が高まるのかを考えることが必要である。
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