■〔シリーズ〕DX企画推進人材のための「ビジネス発想力養成講座」はこちら

 この連載はDX企画、推進人材が身に付けるべきビジネス発想力の養成を目的としている。DXやデジタルビジネスの成功事例には「ビジネスの仕掛け」がうまく使われているが、本連載では、役に立つ9の「ビジネスの仕掛け」をテーマにビジネスアイデアを発想できる考え方、事例などを解説していく。

 今回のテーマは〈2〉プラットフォームである。「プラットフォームと言えばどのようなものをイメージするか?」と筆者が質問をすると、多くの人は「Amazon、楽天、メルカリ、Yahooのような巨大ネット企業」と答えるだろう。プラットフォームと言えば「巨大ECサイト、ネットの塊」という強いステレオタイプである。

 多くの人が、「プラットフォームはネットに強くないと作れない」と言ってネットに結び付ける。しかし、これは正しくない。プラットフォームはネット(デジタル)と相性が良いのは確かだが、プラットフォームはデジタルの世界だけの「ビジネスの仕掛け」ではない。

 例えば、デジタルでないプラットフォームの代表はゲーム機とソフトの関係のエコシステムといわれる。

 基盤となる製品とそこで使える多くの製品が組み合わさり、大きな価値をもたらすものをプラットフォーム型ビジネスと呼ぶ。ベース(基盤)であるゲーム機とそこで使うソフトが組み合わさり、大きな価値を持つことで魅力が増す。その効果で、さらにお客を集め、そのゲームのエコシステムが人気になると、さらに買うお客とソフトが増える。これがプラットフォーム型ビジネスであり、ネットは必須ではない。

 巨大ECサイトやネットが大事なのでなく、「お客が集まる仕掛けがあること」が大事である。「何をすればプラットフォームが作れるか」という本質を知ることこそ重要なのだ。これを理解してほしいので、事例を紹介しよう。

よく売れて「忙しくなった本のネットショップ」は・・・

 あるところに、とても本好きな人がいた。自分が読まなくなった本がもったいないので、他の人にも読んでほしいと考え、本を売りたいと思った。しかし、古本屋では金にならないので、自分で売ろうと「本のネットショップ」を作った。

 ネットショップで本はよく売れた。本の内容をうまくPRできたからだ。本が好きだから買い手に訴求できるPRができ、本は出せば出すほど売れた。すぐに手持ちの本が売り切れてしまったので、新しい本を買い、読んで売ったが、またすぐ売れてしまう。

 忙しくなって困った店主は友人に、どうすれば良いかのアドバイスをもらうことにした。話を聞いた友人は2人いた。1人はブランドショップでの買い物が好きなAさん、もう1人はフリーマーケットでの買い物が好きなBさんだった。

 Aさんは聞くやいなや、『自分で選んで読んだ本こそ、他人に売る価値がある。時間をとって、もっと多くの本を読めば、それだけ多くの本が売れる。だから、朝から晩まで長い時間、本を読んで、売る本を増やすことが必要である』と言った。

 一方、Bさんは少し考え、『本が好きな人、PRできる人はたくさんいる。だから、中古本を売る人を広く募り、ネットショップで売らせて手数料を得ればよい。売る本の種類が増えれば、買い手も多くの中から選べるので喜ぶ。必要なのはフリーマーケットだ』と言った。

 以降、このネットショップは、本が安く買えるだけでなく、本の解説や感想を書く人が多く集まり、それを楽しみにする読者がたくさん集まる活性化された中古本の『プラットフォーム』と呼ばれ、多くの本が売れ、売り手にも買い手にも人気になったという。

プラットフォーム活性化には「ネットワーク効果」

 プラットフォーム型ビジネスを成功(活性化)させるためには、何を知っている必要があるだろうか。それは、「ネットワーク効果」と呼ばれるビジネスの仕掛けである。この言葉を理解していないとプラットフォームの作り方が分からない。

 ネットワーク効果とは、ネットワーク外部性とも呼ばれ、ある場所にお客が集まると、そのお客に商品を販売する者が集まり、それらの商材でさらにお客が増えるというスパイラル的規模増幅効果のことである。ただし、ネットワーク効果という言葉だけを知っていても駄目で、具体的な要素を掘り下げることが必要だ。

 では、どのように、「プラットフォーム」の成功ケースを作ればよいのだろうか。そのために筆者は、「プラットフォームのチェックリスト」を使っている。これを使うことで、成功する可能性が高いプラットホームビジネスを考えることができる。