「ソフトウェアファースト、DX」で、「CASE」への変革を強く推進しているアイシン。アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュの統合を機に「移動に感動を、未来に笑顔を」というビジョンを掲げ、デジタル技術を幅広く活用することで社会課題解決につながる新たな事業創出を進めている。同社取締役・副社長執行役員 兼 DX戦略センター長の鈴木研司氏が、DXの具体的な取り組みについて話す。
※本コンテンツは、2021年11月15日に開催されたJBpress主催「第4回 ものづくりイノベーション」の特別講演Ⅲ「アイシンのDX/ソフトファースト〜CASEへの変革を加速するプラットフォーム〜」の内容を採録したものです(役職等は講演時点のもの)
プラットフォームを構築し、2軸でDXを推進する
自動車関係のトピックスで最近、耳にする機会が増えてきた「CASE(ケース)」。CASEは、Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング/サービス)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語で、変革の時代を迎えている自動車産業の動向を象徴するキーワード。自動車のハードとしての変化と、異業種を交えたこれからのモビリティーサービスの在り方を示唆している。
アイシンは、2021年4月にアイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュが経営統合して誕生した。パワートレインやコネクティッド&シェアリングソリューション(CSS)など自動車部品事業に加え、エナジーソリューションとしてガスヒートポンプやシャワートイレ、水素ステーションなどの生産・販売を行っている。また、パーソナルモビリティーやデリバリーサービスなどの新規事業にも参入している。
「合併を機に、『移動に感動を、未来に笑顔を』という新しい経営理念を設定しました。ソリューションに向かおうというメッセージを込めたものになっています。私たちが挑む重点経営課題は、『カーボンニュートラル』『電動化』『ソフトウェアファースト、DX』です。『カーボンニュートラル』や『電動化』を側面・背面から支援する大きな力として『ソフトウェアファースト、DX』を置いています」
そして、同社は新たな事業ビジョンを2つ掲げる。
1つ目は「電動化への対応」。今後は従来のハイブリッドトランスミッションに加え、「eAxle」という純粋な電動モーター製品など、フルラインアップの電動化に向け、品揃えを強化していくという。競争力を高めるために、開発スピードと生産効率の飛躍的向上にも目を向ける。2つ目は「成長領域へのシフト」。単なる部品や技術の供給を行うのではなく、ソリューション提供に向け、次の世代へシフトしていきたい方針だ。
この2軸を事業ビジョンとして掲げ、社会課題へのソリューション提供を意識し、安心・快適な「移動」の実現を目指していく。そのときに鍵を握るのは、ハードよりもソフトウェアを先行して開発するソフトウェアファーストやDXの取り組みになる。