マイコンや汎用のロジック半導体などは平均単価が15%以上上昇したという。ガートナーの山地正恒アナリストは「半導体不足は、主要電子機器メーカーの二重発注やパニック買いを加速させた。これも消費額が急増した要因だ」と指摘する。

世界半導体市場、25%増の67兆円

 これに先立ち、ガートナーが公表した半導体市場リポートによると、21年における世界半導体メーカーの売上高合計(速報値)は前年比25.1%増の5834億7700万ドル(約66兆9500億円)だった。業界の総売上高が5000億ドルを超えたのは初めてだという。

 背景には自動車や電子機器分野での強い需要と、物流費や原材料費の高騰による平均単価の上昇があるとガートナーは分析する。さらに同社は、高速通信規格「5G」に対応したスマホ市場も半導体収益の増大を後押しした、と指摘する。「20年に2億5000万台だった5G対応スマホの生産台数は、21年に5億5000万台と、2倍以上になった」(ガートナー)

 これにより、5Gスマホ向け半導体を手がける、米クアルコムと台湾・聯発科技(メディアテック)の売上高がそれぞれ前年比で52.3%増と58.8%増になった。

半導体市場の規模、10年以内に1兆ドルに

 米ウォール・ストリート・ジャーナルは、「半導体業界は製品需要を満たすことが困難で、供給不足が続いている。このことで半導体生産への関心が高まり、政府による補助金や前例のない投資額を呼び込む動きが出ている」と報じている。

 こうした中、業界関係者は、市場規模が今後10年以内に2倍になると予測する。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、半導体受託製造大手グローバルファウンドリーズのトーマス・コールフィールドCEO(最高経営責任者)は「市場が5000億ドル規模に成長するまで50年がかかった。だがあと8~10年で1兆ドルに到達するだろう」と述べた。

 (参考・関連記事)「米企業への半導体供給が危機的状況、米商務省調査 | JDIR