中国での売上高7割増、営業利益2倍に

 アップルにとっては、中国の高価格帯スマホ市場で強力なライバルが消えたことになる。これにより、21年10~12月期の中国スマホ市場におけるiPhoneの販売台数は前年同期比32%増の約5000万台となった。

 2位以降はいずれも中国ブランドで、vivo(ビボ)、OPPO(オッポ)、オナー、小米(シャオミ)、ファーウェイ、realme(リアルミー)の順。このうちファーウェイの販売台数は前年同期から73%減少。落ち込みが最も激しかった。カウンターポイントの担当者は「シャオミやオッポ、ビボはプレミアム市場の参入にそれほど成功していない」とも指摘する。

 アップルにとっては、世界最大のスマホ市場である中国の重要度がますます増している。フィナンシャル・タイムズによると、21年9月25日までの1年間におけるアップルの中華圏(香港、台湾を含む)売上高は前年比70%増。中国事業の営業利益はほぼ2倍の290億ドル(約3兆3300億円)に達した。

 アップルが前回、中国スマホ販売で首位となったのは15年10~12月期だった。当時としては大画面の「iPhone 6s」「同6s Plus」を市場投入した直後だった。

 それ以降、同社は中国で事業投資を拡大している。独自の割引価格を設定する地場の電子商取引(EC)企業と提携したり、中国利用者のデータを保管するため、国営企業と提携してデータセンターを設置したりしている。

 また政府の要請に応じて特定のアプリを削除している。ニュースアプリ「Apple News」のような当局が好ましくないと考えるサービスは中国で提供していないという。

アップル、中国で衝突回避

 アップルは「米半導体大手のインテルや、米小売大手のウォルマート、スウェーデンのアパレル大手へネス・アンド・マウリッツ(H&M)、 独スポーツ用品大手のアディダスなどの他の西側企業を狙うオンラインナショナリストとの衝突を回避してきた」とフィナンシャル・タイムズは報じている。

 同紙は「ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、中国の指導者たちの懸念に対処することに長けている」とも報じている。ただし、おそらくこの文章には皮肉も入っているのだろう。

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