年末商戦、消費額増加 要因は物価上昇
一方、米アドビによると、21年の年末商戦における米国ネット通販支出額は2045億ドル(約23兆4400億円)で、前年同期から8.6%増加した(ロイターの記事)。ただし、これはアドビが事前に予測していた2070億ドルを下回っている。21年は同社が統計を取り始めた14年以降で最も伸びが低かったという。
アドビはその理由として、(1)大手が年末セールを前倒して実施したことによる消費行動の分散、(2)物流逼迫、(3)サプライチェーン停滞、を挙げている。「ブラックフライデーやブラックフライデーのような大型セールがあまり注目されなかったのは初めてだ」(アドビ)
米国では多くの小売業者がサプライチェーン問題に直面している。要因は、コンテナ輸送コストの急騰やコンテナ不足、積み出し港における新型コロナの感染拡大、積み降ろし港や物流倉庫における人手不足だとみられている。
米ウォール・ストリート・ジャーナルは昨年、米西海岸に運ばれてきたコンテナが荷下ろしされず大量に積み上がっていると報じた。数万ものコンテナがロサンゼルス港とロングビーチ港にとどまり、大量の貨物船が入港待ちの状態だった。両港は、米国の輸入量の4割以上をさばいている。また、専門家は21年11月、ロサンゼルス港の沖合で79隻の貨物船が停泊しており、入港までに最大45日かかると指摘していた。
アドビによると、米国ネット通販商品の価格は21年12月に平均3.1%上昇、19カ月連続の上昇を記録した。在庫不足や旺盛な消費者需要を背景に小売大手が大幅値引きを行わなかったことが要因だ。
21年の年末商戦における消費額の増加は物価上昇によるところが大きいという。米セールスフォース・ドットコムのリテール部門ゼネラルマネジャー、ロブ・ガーフ氏は「消費者は昨年末、より少ない商品をより高値で購入した。利用した店舗の数も例年に比べ少なかった」と指摘している。
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