JTB 常務執行役員 人事担当(CHRO)大八木勢一氏(撮影:榊美麗)
インバウンド需要の拡大と中身の変化、海外ビジネスツーリズムの急進など、JTBを取り巻く環境は転機を迎えている。それらに対応する人材の確保が急務となる中で、同社の最高人事責任者(CHRO)を務める大八木勢一氏は「自主性と多様性」を重視した人事改革を主導している。ツーリズム業界全体の発展も見据えた、社内カルチャー変革と打ち手とは?
旅行や出張の形は、世界全体で大きく変わった
――JTBの事業はいわゆる「旅行業」だけでなく、地方の観光拠点の開発や、企業のマーケティング支援などのBtoB事業などに広がっています。その背景には観光を取り巻く事業環境の変化があると思いますが、具体的に何が起きているのでしょうか。
大八木勢一氏(以下、敬称略) かつての旅行業が中心の時代、当社のお客さまとは、国内旅行、あるいは日本から海外へ旅行や出張をする日本人の方が大半でした。しかし今は、日本人のみならず世界中に居住する外国人もその対象になり、ビジネス領域も拡大してきています。これが最も大きな変化です。
まずご存じの通り、コロナ禍を経て完全に復活したインバウンド(訪日外国人)需要によって、国内の外国人観光客が急増しています。ですが、その旅のスタイルは変わりました。外国から日本を訪れる方は、以前はご自身の国から直接日本に来ていましたが、今は日本をアジアの一部として捉え、例えばタイやシンガポールを回って、日本にも立ち寄るというケースが増えています。
これまでは日本を直接訪れるお客さまにフォーカスしていましたが、今は「アジアの中の日本」の特徴を引き出す旅を考える必要が出てきました。






