行動の結果を予測して先手を打つ

 異文化に適合するということは相手の価値観に基づく行動を予見し、先手を打つ行動だと思う。管理行動の基本は生じる結果を予見し、仮説をもとに先手を打っていくということだとすると、管理と同じような考えが適用できると考えられる。

 ただし、先述したように人の価値観が分からないと行動を予見できないため、タイをはじめとする海外拠点で異文化に適合した管理は難しい。

 管理者は日本では想定できない(しにくい)ことも想定しなければならない。そのためには現地に入り込み、現地の人の価値観を理解、体感することが大切だと思う。

 また、現地管理者に行動を促すためには、実施すべき仕事を実行できるようJD(JD:Job Description)に記載し、日々のフォロー、振り返りのサイクルを仕事に組み込んでいく必要がある。

 特に人の仕事をフォローするときは、全員が同じではない、個人の性格を理解してコミュニケーションを取る、そして日本の常識が通じない(日本人が非常識!)と心得て、辛抱強く接することが重要である。この点を忘れないようにしてほしい。

コンサルタント 角田賢司(つのだ けんじ)

生産コンサルティング事業本部
プロセス・デザイン革新センターセンター長
兼 デジタルイノベーション事業本部 シニアコンサルタント

IEをコア技術として収益向上のコンサルティングに取り組んでいる。自動車(部品)、化学プラント、樹脂成型、建材、食品等、多業種で収益向上の支援を実施。現場の生産性向上、品質向上、調達コストダウンや在庫削減等複数テーマを同時に展開、マネジメントの支援を行う。近年はタイ・中国等の製造拠点支援として生産性向上や品質向上の成果実現と併せ、マネジメントの仕組みづくり、ローカル人材育成を実践