日々、多くのプロジェクトが生まれる中で、その一つ一つをどのように管理し、支援していけばいいのか、悩んでいる担当者は少なくないだろう。事業部内で各プロジェクトが個々のマネージャーごとにバラバラに行われていては、プロジェクトの成功率は低下してしまう。そんなときどうすればいいのだろうか。今回はプロジェクト推進で先進的な取り組みを行うリクルートの事例から、そうした課題を解決するヒントを探る。
大型プロジェクトを専門に扱う「プロジェクト推進部」
高い競争力を持った多種多様な事業を展開しているリクルート。同社では常に新しいビジネスの創出にチャレンジするように、さまざまなプロジェクトが立ち上がっている。その組織としての活力ある姿は多くの企業でも見習うところだろう。
だが、そんなリクルートでも手放しで、プロジェクトを立ち上げているわけではない。そこには成功率を高めるための秘密がある。その1つの施策が、社内の大規模プロジェクトを専門的に遂行する部隊として「プロジェクト推進部」を設置していることだ。
同社では通常、プロジェクトが立ち上がると、事業部内でプロジェクトチームが組閣され、プロジェクトが推進される。だが、こうしたプロジェクトの中で、開発規模が大きい、あるいは難易度が高いプロジェクトについては「プロジェクト推進部」に移管され、同部が主体となってプロジェクトが推進される仕組みとなっているのだ。
同部の陣容は社員30人、外部コンサルやパートナー企業を加え、総勢50人の体制となっており、部内計6グループに分かれ、プロジェクトを担当している。
そんな「プロジェクト推進部」のミッションは「大規模開発プロジェクトの遂行を通じて事業ビジネス実現に貢献すること」だが、どのような経緯で生まれた組織なのだろうか。同社プロジェクト推進部でPSG(プロジェクト・サポート・グループ)を統括するグループマネージャー坂本顕啓氏は次のように語る。
「リクルートでは、これまで多くの事業で紙媒体を中心としたサービスをウェブへ切り替える作業を行ってきました。それに伴い、各事業で大規模な開発プロジェクトが発生するのですが、大規模プロジェクトを動かした経験を持つスタッフも少なく、トラブルが起こることもたびたびありました。通常の機能を向上させるシステム開発と大規模プロジェクトとでは仕事の進め方や求められるスキルも違う。そこに大きな原因があったのです。そのため、大規模で難易度が高いプロジェクト開発では、それを専門に行うエキスパート部隊が必要であるとの判断から、2010年4月にプロジェクト推進部が設置されることになったのです」