DXに求められる6つのステップとは何か

 ものづくり企業のDX化に向けたプロセスには、DXの方向性の提示し、仕組みの構築と運用や成果を出すことが求められる。そのプロセスの全体像は「6つのステップと3つのポイント」で行われる。このプロセスを着実に、かつ技術の進展をにらみながら、組織にビルトインしていかなければならない。

 以下に、DX推進の6つのステップでやるべきこと、ステップごとの人選(その役割を担う人)を整理する。

【第1ステップ】
 自社の経営課題や事業課題の解決につながるデジタル戦略を立案し、DXをけん引・推進する。全社の経営を把握できる人材でなければならないので、会社の規模や推進形態によっても異なるが、社長、DX推進プロジェクト責任者や各機能部門のトップ層が担うべきであろう。

【第2ステップ】
 DXテーマを実現するための仕組みの設計やリソースの調達、ソリューションの具体化、実装までを推進する。ここでは、規模の小さい会社なら社長、DX推進プロジェクトチームや製造テーマであれば生産技術部門の担当者がふさわしい。

【第3ステップ】
 要件定義されたDXテーマの実装を行う。生産技術部門や情報システム部門の担当者が担える。しかし、専門的なことはSIer、システムベンダーの協力をあおぐとよいだろう。

【第4ステップ】
 DXツールを使いこなして社内に普及していく。各機能部門からの選抜やDX推進プロジェクトチームから選出するとよい。ここでも、専門的なことは教育会社やシステムベンダー、ツールベンダーを活用していく。

【第5ステップ】
 DXツールを活用し、業務成果を出すことが求められる。選出すべき人材は、例えば製造機能のDXであれば製造部門の中核人材といった、ツールを実装する各現場の中核となる人材がよい。ここでも、システムベンダー、ツールベンダーの専門家に支援をあおぐとよい。

【第6ステップ】
 DXツールから出てきたデータを活用し、新たな示唆・課題設定を行う。製造部門からの選抜や、DX推進プロジェクトチームや情報システム部門からの人選がよい。ここでもSIerやコンサルティングファーム、分析ベンダーの支援は欠かせない。

 このように1~6までのステップを着実に行うことがDXには求められる。そして、この6ステップを統括する役割もまた非常に重要である。経営戦略との調整、自社内に留まらない組織間との連携や社内にある別のテーマとの整合性をとることなど、経営に近いところで意思決定できる人材が担うべきであろう。これを「チーフデジタルオフィサー(CDO)」と呼ぶ。