ベステアー上級副委員長の勝利

 いずれにしても、今回の判決は欧州委で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー上級副委員長の勝利だとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。同氏はグーグルのほか、米アップルや米メタ(旧フェイスブック)の欧州域内における商慣行を厳しく監視してきた人物。

 ベステアー氏はかねて「制裁金は過去の違法行為に対する第1段階の罰則という役割。第2段階は、違法行為をやめさせること。そして第3段階は、違法行為によって苦しめられた企業を救うための実質的な措置を講じることだ」と述べていた。

 欧州委はグーグルに対して計3度、巨額制裁金の支払いを命じている。1度目は今回の買い物検索に関する競争違反行為。18年7月には、グーグルが基本ソフト(OS)「Android」のライセンス制度を利用して他社の参入を妨げたとし、過去最高額となる43億4000万ユーロの制裁金を科した。

 19年3月にはインターネット広告事業で優越的な立場を利用し競争を妨げたと認定し、14億9000万ユーロの支払いを命じた。同社に対する制裁金の合計額は82億5000万ユーロ(約1兆800億円)に上る。グーグルはこの2件についても命令を不服とし、EU司法裁に提訴している(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

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