1年足らずでほぼすべてに搭載完了

 これに今回、ノートパソコン高性能モデルの上位版が加わる。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルが販売しているデスクトップパソコンのうち、今もインテル製半導体を搭載しているのは4機種のみ。そのうちの2機種は旧型のiMac、1機種は旧型のMac mini。これらのデスクトップ機はいずれも、すでにM1搭載の新モデルが発売されている。残る1機種は価格が6000ドル(66万円)以上の「Mac Pro」だ。

 こうしたアップルの独自半導体への移行計画について同紙は、「予定よりもかなり早く進んでいる」と報じている。アップルがM1を発表してから1年足らずで、ほぼすべてのMacへの移行を完了したからだという。

Mac販売も好調

 この戦略は販売にも寄与した。米調査会社のIDCのアナリストは、「M1は成功を収めている」と指摘する。IDCによると、アップルは20年に2310万台のMacを出荷した。この台数は前年に比べ29%多い。また同年10~12月期におけるMacの出荷台数は734万9000台で、前年同期から49.2%増加した。Macは21年に入ってからも好調だ。M1搭載Macが初めて四半期全体を通して販売された21年1~3月期の出荷台数は、前年同期比2.1倍の669万台だった。

 アップルは10月28日に21会計年度の決算を発表をする。ウォール・ストリート・ジャーナルによるとアナリストらはMacの年間売上高が前年比23%増の352億ドル(約4兆260億円)に達すると予想している。この金額は過去最高で、Macが同社唯一の製品だった時代の全売上高の6倍以上に相当するという。

 英フィナンシャル・タイムズによると、今年インテルのCEO(最高経営責任者)に就任したゲルシンガー氏はアップルの半導体について聞かれ、次のように述べたという。

 「アップルは、当社よりも優れた半導体を開発できると考えた。そして彼らはうまくやった。私がこれからやるべきことは、アップルが開発したものよりも優れたものをつくることだ」(ゲルシンガー氏)

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