アマゾン「反トラスト法の本来の目的と逆行する」
これに対し同社は、「出品者は我々のオンラインストアで提供する商品の価格を独自に設定している。司法長官は全く逆の考え方をしている」と反論。
「安価な商品を提供していることに誇りを持っている。当社は多くの小売業者と同様に、割高なものを目玉商品として扱うことはしないし、その権利を持つはずだ。当社の価格規定は、過剰な支払いから消費者を守ることを目的にしている」と主張している。
「司法長官の主張は、割高な商品を消費者に売り込むよう我々に要求するもので、反トラスト法の本来の目的と逆行する」とし、「アマゾンでは、価格や配達の迅速さなどを考慮し、どの商品を顧客に勧めるかを決めている」と説明した。
CNBCによると、アマゾンの広報担当者は今回の修正訴状についても同様の声明を出したという。
米連邦議会や米欧規制当局がアマゾン調査
この訴訟は首都ワシントンの法律に違反したとするもので、アマゾンの米国全土の事業への影響は限定的だとみられている。
だが、アマゾンなどの巨大IT(情報技術)企業の商慣行を巡っては、米連邦議会や米欧の規制当局などが監視を強めている。
米議会下院の超党派議員団は21年6月中旬、米巨大IT企業を対象にした反トラスト法改正案を公表。下院の司法委員会は6月下旬に計6本の改正案を可決した。アマゾンなどにとって痛手となるのは、プラットフォーム上で利益相反となる事業を保有することを禁じる「プラットフォーム独占終了法」と、自社製品・サービスを優遇することを禁じる「オンラインにおける米国人の選択と技術革新法」とみられている。
前者はアマゾンが商品の保管や梱包、配送などを代行する出品者向けサービス「Fulfilled by Amazon(FBA、フルフィルド・バイ・アマゾン)」も対象となり、同事業の売却を余儀なくされる可能性もあると指摘されている。
米連邦取引委員会(FTC)もアマゾンの小売事業やクラウドサービスについて調査中だ。欧州連合(EU)の欧州委員会は20年11月、アマゾンに対し競争法違反の疑いに関する暫定的な見解を示す異議告知書を送付。アマゾンが出品業者の売上高や発送個数、訪問者数といった非公開の販売データにアクセスし、自社製品の販売に利用したと指摘した。
(参考・関連記事)「アマゾン、独禁法改正で事業売却余儀なくされる恐れ | JDIR」