ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この仕組みが利用者を混乱させていた。アップルはこうした実情を踏まえ、「利用者が自身のアカウントを設定、管理できるようにアプリ内に外部リンクを設けることで公取委と合意した」と説明した。

 そして、「合意は日本の公取委との間でされたものだが、この改訂を世界中のすべてのリーダーアプリに適用する」とした。

スポティファイ「今回の譲歩も依然限定的」

 アップルは21年8月26日、アプリ開発者らが起こしていた集団訴訟で和解すると発表した。これに伴い規約を改定。開発者がアプリを通じて入手した利用者の電子メールアドレス宛てにメッセージを送り、他の決済方法を案内することを容認した。今回の改定は、さらに踏み込んだものになる。

 韓国では21年8月31日にアプリ決済の強制禁止法が成立した。アップルや米グーグルはアプリストア内で、開発者に対し自社決済システムの利用を義務付けることができなくなる。米国では20年8月に、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズがアップルとグーグルの手数料が法外だとして2社を提訴した。

 アップルはこれまで、App Storeで得た年間収益が計100万ドル(1億1000万円)以下の開発者を対象に手数料を15%に下げるなど一定の譲歩を示してきた。

 一方、アプリ内でコンテンツやサブスクを販売したいと考える開発者は依然、アップルへの支払いを回避することができない。また、今回の措置の対象はリーダーアプリのみで、App Storeに大きな収益をもたらすゲームアプリは対象外だ。

 ロイターによると、エピックゲームズのティム・スウィーニーCEO(最高経営責任者)は「アップルのロジックを論理解釈するのは困難だ」と批判しているという。スポティファイの広報担当者は「今回の譲歩も依然限定的で、すべての問題が解決されたわけではない」とコメントしている。

 (参考・関連記事)「韓国でアプリ決済の強制禁止法成立、世界初 | JDIR