組織変革に向けて経営者と現場に求められること

 経営者や中間管理職、現場のそれぞれが自分たちだけで悩むのではなく、問題・課題に名前を付けて景色を合わせ、他部門とコラボレーションして立体的に解決していく。それが、バリューサイクル・マネジメントです。

 まずは半径5mの最小単位で、「本来価値創出」「業務改善」「育成・学習」のコアサイクルを回すことから始めてください。

 そして、社内の他部署とつながって新しい価値を生み出す。正しい成長欲求や能力を持つ人たちが正しく活躍できるように、デジタルを使い、制約を取り払って滑らかにこのサイクルを回していくのです。

 最後に、DXの初めの一歩として、経営ができること、現場ができることをそれぞれに示したいと思います。

 まず、経営には何よりITと育成への投資が必要です。社員のスキルアップ、マネージャーのマインドシフトも含めて投資し、デジタルエクスペリエンスを社内に増やすことが重要です。そのためにも、社内の変革人材が報われるような採用・人事評価制度の刷新が必要です。変化・成長を拒む人材にも育成の機会を提供し、それでも変化を拒む人には厳しく処遇していく、そうしたアメとムチが大事ではないでしょうか。

 そして、現場では、半径5m以内の問題・課題を言語化して景色を合わせることが求められます。他部署・経営と小さなデジタルワークで、その課題を解決する。少しの成長体験、気持ち良くなった快感や体験を創出し、さらにそこからデジタルの広がりを増やしていくことが必要です。

 最近では組織の景色をどう変えていくか? 皆さんのご相談やご質問にお答えするオンラインのコミュニティ『沢渡あまねマネジメントクラブ』も展開しています。

 このような「つながり合う場」も活用しながら、半径5m以内から景色を変えていきましょう。

▼ご参考
沢渡 あまね著『バリューサイクル・マネジメント』