ウイングはサービスを他の地域にも広げる計画だ。広報担当者のジョナサン・ベース氏によると、現行のサービスはオーストラリアのローガンシティと同規模の都市で再現できるという。「ローガンシティのような人口50万人以下の都市は世界に数百ある。例えば、米国のニューオリンズや英国のマンチェスター、イタリアのフィレンツェなど。この規模の都市の人口を合計すると20億人以上。近い将来それらの都市、あるいは、より規模の大きな都市でサービスを提供できる」と説明している。
「ラストマイル」効率化、アマゾンやUPSも
小売り業界では配送拠点から顧客宅までの「ラストマイル」物流の効率化を図る動きが広がっている。米アマゾン・ドット・コムも20年9月にFAAからドローン配送に必要な認可を受けた。アマゾンのドローンは大人の身長ほどの大きさ。垂直離陸した後、一定の高度に達すると回転翼をほぼ垂直に傾けて水平飛行する。約2.3キログラムまでの荷物を運び、最長24キロメートルの飛行が可能。顧客宅の庭へ30分以内に商品を届けることを目指している。
米物流大手のUPSもFAAから認可を取得。19年3月に米ノースカロライナ州の医療機関と提携して医療用品を病院に運ぶサービスを開始した。20年5月には、米ドラッグストアチェーン大手CVSヘルスと提携し、米フロリダ州の高齢者居住地区「ザ・ビレッジズ」で処方薬を配送するサービスを始めた。
こうした中、米運輸当局は低空域の規制づくりを進めている。20年12月にドローン新規制の最終版を公表。21年4月に発効した(ロイターの記事)。機体の識別情報と位置情報を発信する「リモートID」システムの装備を義務付けることなどを盛り込んだ。FAAや治安当局が管轄内を飛行するドローンを追跡できるようにし、安全・治安対策を強化する狙いがある。
(参考・関連記事)「アマゾン、米国でドローン配送の認可取得 | JBpress」