債権回収というと、あまりポジティブな印象を持たない読者もいることだろう。借りたものを返すのは古今東西、いつの時代も当たり前のルールだが、返済が遅延する場合があれば、回収できない事例もたくさんある。貸す側としては確実に返済してもらえる人に貸したいし、貸したお金は確実に回収したい。しかし、これまではどちらとも人が関わり、多くの時間と労力、コストがかかっていた。ここをデジタルの力で変革しようとしたのが、Lecto株式会社の小山裕社長だ。
今まで100人でしていたことを20人でする
小山社長はフィンテック領域に関する保証事業と後払い事業を軸に展開するGardiaを2017年起業するなど、Lectoで4つ目の会社となる連続起業家だ。大学卒業後はコンテンツ制作会社を立ち上げ、30代で組織やサラリーマンの世界を知るべく三越伊勢丹グループの伊勢丹アイカード(現エムアイカード)に入社、現在につながる金融ビジネスの世界に入った。
その小山氏に債権回収という珍しいビジネスに着目したきっかけを聞くと「Gardia時代、お金が戻ってこないリスクの高いサービスを行う中、『こんなサービスがあれば、楽だな』と思うものがいっぱいありました。それを今、Lectoで提供しているのです」
Gardiaではお金を貸す際、クレジットカードに頼らない後払い決済という新しい決済手段で行っていた。例えば、チケット代や旅行代の後払い、プリペードカードに先にチャージするといったものだ。その結果、月次の流通額が二桁億円を突破したが、貸したお金の70%くらいが返ってこないという経験もした。
しかし、「2年後にはほぼ全ての債権を回収できるようになりました。自分なりに改善し、ノウハウも蓄積できました。この知見をいろいろな金融会社に使ってもらえれば、その企業は良い回収率の中でサービスを行えます。そうしたニーズが高いのではと考え、起業したのです」
しかも、それを、デジタルテクノロジーを使って行うので、少人数で行える。
「回収にかける人的コストは結構、重たいものなのですが、時間当たりの回収率も上げられるので、例えば、今まで100人で行っていた仕事を20人でするイメージになります」