インフルエンサー獲得に注力、AR・VR事業で1万人雇用

 こうした状況に対処するため、フェイスブックは新たな施策を打ち出している。ザッカーバーグCEOは21年4月、「引き続き、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、電子商取引、クリエーターエコノミーなどの分野に積極的に投資する」と述べていたが、今回の声明でもこれらに言及。「新たな取り組みの成果を見るのが楽しみだ」と述べた。

 同社は21年7月、自社のSNS(交流サイト)上で活動するクリエーターに対し、22年末までに総額10億ドル(約1100億円)超の報酬を支払うと明らかにした。

 ネット上で活躍するインフルエンサーが生み出す巨大な経済効果は「クリエーターエコノミー」と呼ばれ、注目度が高まっている。また、インフルエンサー離れは利用者離れを招くとSNS各社は考えている。これまで広告収入の分配を通じてインフルエンサーを取り込んできたSNSは、あの手この手の還元策を打ち出し、彼ら彼女らをつなぎとめようとしている。

 フェイスブックは21年7月、「メタバース」と呼ばれる、利用者同士が交流できる仮想空間の事業部門を設置したと発表した。英フィナンシャル・タイムズによると、同社はAR・VR事業で1万人を新規雇用するなど、この分野の投資を増やしている。今回の決算発表で、ザッカーバーグCEOは「将来は当社をSNS企業としてだけでなく、メタバース企業として見てもらえるようになる」と述べた。

反トラスト法訴訟、州・地域の司法長官が上訴

 ただ、フェイスブックに対しては米政府などからの圧力が強まっている。米連邦取引委員会(FTC)と米ニューヨーク州などの48州・地域の司法長官は20年12月、フェイスブックを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。フェイスブックが米国のSNS市場で6割以上のシェアを持っており独占に当たると主張。12年に買収したインスタグラムと14年に買収したワッツアップを分離するよう求めた。

 米首都ワシントンの連邦地裁は21年6月、「(フェイスブックが)SNS市場を独占していることを示す法的根拠が不十分だ」としてFTCの訴状を棄却した。FTCは同8月19日まで内容を修正して訴状を再提出することができる。一方、州・地域の司法長官による訴訟は「買収撤回要求の長期の遅れ」を理由に訴えそのもを棄却した。これに対し、州・地域の司法長官らは同7月28日、連邦地裁の判断を不服として連邦控訴裁判所(高裁)に上訴した。

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