米フェイスブック(FB)は7月28日、2021年4~6月期の決算を発表した。純利益は前年同期比2倍の103億9400万ドル(約1兆1400億円)となった。売上高は同56%増の290億7700万ドル(約3兆1900億円)で、四半期として過去最高を更新した。
広告収入、56%増の3.1兆円
売上高全体の98%を占める広告収入は同56%増の285億8000万ドル(約3兆1400億円)。広告表示数の伸びは6%と、前四半期の12%から低下したものの、単価が47%上昇した。前四半期の単価の伸びは30%だった。年内は主に単価上昇による効果で増収が続くとみている。
6月末時点の月間利用者は28億9500万人で、3カ月前から4200万人増えた。写真共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」などのサービスを含むグループ全体の月間利用者数は同6000万人増の35億1000万人になった。
マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は声明で「好調な四半期だった。引き続き外部企業の成長と人々のつながりを支援していく」と述べた。
一方で、デビッド・ウェーナーCFO(最高財務責任者)は今後について慎重な見通しを示した。新型コロナの影響によるネット広告の需要増が一巡したことから、21年7~9月期における売上高の前年同期比伸び率が21年4~6月期に比べて著しく低下するとみている。21年後半の伸び率については、新型コロナの影響がなかった2年前と比較しても若干低下する見通しだという。
また、米アップルがスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」のOSで導入した個人情報保護の新方針がターゲティング広告への逆風となり、その影響が4~6月期よりも大きくなると予想している。
アップルのプライバシー保護強化が逆風に
フェイスブックは「オーディエンスネットワーク」と呼ぶサービスで提携先のモバイルアプリに広告を配信している。アプリの運営企業は、フェイスブックが収集したユーザー情報に基づき、個々の利用者に最適化された広告配信を受けられる。このとき重要になるのが、対象となる利用者を絞り込むターゲティング機能だ。
しかし、かねて個人情報保護の姿勢を鮮明にしていたアップルは21年4月にアプリの広告制限を強化。ターゲティング広告の配信時に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA(Identifier for Advertisers)」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出し利用者に許可を求めることを義務付けた。
これにより多くの利用者が追跡(トラッキング)を拒否すると予想される。これにともない、ターゲティング機能の精度が下がり、アプリ運営企業の広告収入が著しく減少するとみられている。