この中で、積極姿勢が目立っているのがカリブ諸国です。バハマは昨年(2020年)10月20日、世界で初めて、中央銀行デジタル通貨を正式に発行しました(第21回参照)。そして本年3月31日、東カリブの8カ国・地域(アンギラ、アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、ドミニカ国、モントセラト)が共同で運営する「東カリブ中央銀行」も、デジタル通貨「DCash」の試験的発行を開始しました。

(c)DCash

カリブのデジタル通貨「DCash」

 東カリブ海の国・地域は1981年、「東カリブ諸国機構」(Organisation of Eastern Caribbean States, OECS)を組織し、1983年には「東カリブ中央銀行(East Caribbean Central bank, ECCB)を設立しました。この中央銀行は、東カリブの国々や地域で使われる共通通貨「東カリブ・ドル」を発行していますが、東カリブ・ドルは米ドルにペッグされた通貨であり、もともと「金融政策の独自性」はありませんでした。この点は、既に中央銀行デジタル通貨を発行しているバハマと同じです。

 そして、東カリブ中央銀行は2019年3月から中央銀行デジタル通貨に関するパイロットプロジェクトを進め、本年、中央銀行デジタル通貨“DCash”を試験的に発行しました。この試験発行に参加しているのはアンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネビス、セントルシアの4カ国です。今後、1年間の試験期間を経て、東カリブ中央銀行は、DCashを加盟全8カ国向けに正式発行するかどうかを決定することになります。

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