バーゼル委員会のあるスイスの国際決済銀行ビル
(c)Bank for International Settlements

 国際銀行規制を定める「バーゼル委員会」は6月10日、暗号資産やデジタル資産に関する「リスクウェイト」の案を公表した。その意味について、元バーゼル委員会委員の山岡浩巳氏が背景と課題を解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第43回。

「バーゼル規制」という言葉を聞かれたことのある方は多いかもしれません。これは、国際的に活動する銀行の自己資本比率などを定めた規制です。国によって銀行規制の厳しさに差があると、国境を超えた競争の中で有利・不利が生まれてしまいますし、規制の緩い銀行を皆が使えば、金融システムが全体として脆弱になってしまう可能性があります。そこで、スイスにある「バーゼル委員会」が国際的な銀行規制の枠組みを決め、この枠組みを各国が国内規制に取り込む形で、規制の調和が図られてきました。

 自己資本比率規制では、銀行の持っている資産の額に、それぞれの資産ごとに決められた「リスクウェイト」をかけて「リスクアセット額」を計算します。これをもとに、必要な自己資本額(所要額)が決まります。例えば、リスクウェイトが100%の貸出の場合、100万円の貸出に対して所要自己資本比率が8%なら、8万円の自己資本を持つ必要があることになります。