同プログラムの立ち上げ時アマゾンは、物流事業の経験がない人でも1万ドル(約110万円)程度の資金で開業でき、20~40台の車両を稼働して事業を行う場合、年間30万ドル(約3300万円)の利益を得ることができると説明していた。

 CNBCによると、このプログラムを通じて起業した人は2000人以上に上り、計11万5000人超のドライバーを雇っている。

安全重視か監視か

 アマゾンは同プログラムの安全対策が不十分だとの批判を受け、21年2月に「ドリバリ(Driveri)」と呼ぶAI(人工知能)搭載のカメラシステムを導入した。4つのレンズで、道路前方と車両の両側、運転手を常に録画し、運転状況を把握するというものだ。

 一時停止無視や速度超過、車間距離不保持、シートベルト非装着、ながら運転、急ブレーキなどの16項目を検知でき、違反行為があった場合は音声で警告する。

 アマゾンはこのシステムについて、「安全確保は我々の最優先事項。何年もドライバーの安全に投資し、業界トップのカメラ技術を開発した。これにより配達中の事故が48%減少した」と述べている。効率的なルートを案内するナビゲーションシステムも導入しており、9割のドライバーが予定より早く仕事を終えているとも説明している。

 ただ、こうしたシステムについてもドライバーの不満が募っているという。アマゾンや宅配業者がこれらのデータを勤務評価に使うこともあり得る。「1日8~10時間も監視されたくはありません」とシャリーン・ウィリアムズさんは話している。個人情報保護団体や一部のドライバーはプライバシー侵害を懸念しているという。

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