マネジメントサイクル高速化で圧倒的スピードで実行する
事業環境変化が激しい中でのマネジメントは、高速サイクル化がポイントとなる。月次の進捗管理ではチャンスを逃し、ピンチへの対応が遅れることになる。
製造部門長は、常に事業環境変化をモニタリングし、「本当に顧客を満足させ、競争優位性を確立できているのか」を自問自答することが重要となる。少しの判断の遅れが投資の有効性に影響し、現場のガンバリが水の泡となってしまう可能性があるため、スピード感を持った対応でリスク低減と機会創出する必要がある。
管理者は、現状の計画・推進状況で目標達成可能か管理し、達成が難しいようであれば、自部門以外の能力も活用して、目標達成するための次善策を検討し迅速に実行する。施策の重要性を現場担当者に理解させ、成果と期限のマイルストーンを共有・実行し、高速マネジメントサイクルで成果創出することがポイントとなる。
また、平常時は階層的なマネジメントで各職が役割を発揮する仕組みを構築することが効率的であるが、問題発生時は関係者全員が一堂に会し、フラットに情報を共有して、迅速に問題解決に取り組む方が、意思伝達の精緻性、効果創出の即効性の面でも有効である。このように状況に合わせてギアチェンジし、柔軟にマネジメントスタイルを変容させることがポイントとなる。
マネジメントの高速サイクル化が常態化して実行力が向上し、現場の問題解決スピードが迅速化すると、変化が激しい環境に柔軟対応した生産が可能になる。そして、「勝てる戦略」を「圧倒的スピードで実行」する断トツ化を競争優位として、持続的に価値創出できる企業に変革できると考える。
コンサルタント 今井一義(いまい かずよし)
生産コンサルティング事業本部
副本部長 シニア・コンサルタント
2003年、日本能率協会コンサルティング(JMAC)に入社。製造メーカーのコストダウン、製造現場の生産性向上、人材育成のコンサルティングの経験を活かし、農業経営の改革・改善に取り組んでいる。「企業的農業経営が『魅力ある農業』を実現する」を信念に、製造現場の改革・改善手法を農業分野に展開。製造現場でのノウハウを活用し、現場の効率化によるトータルコストダウンに加え、栽培~加工~販売のフードチェーン全体の最適化を中心に活動。農業経営改革を推進している。