“視線をとらえる技術”に多様な業界が熱視線を送る

ヒトが無意識に向ける視線の位置情報を3D感知

森川 直樹/2020.10.20

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 これだけでも十分ニュースバリューのある話だが、実は岡部・藤森両氏さえ想像していなかった現象が今起こっているのだという。

「『GazeSense』の価値を知ってもらうため、情報発信をスタートしたんですが、予想外の多様な業種の企業からお問合せをいただくことになったんです」(岡部氏)

「物流、交通、ゲーム、医療・・・私たちには想像できなかった利用価値を多くの企業が気づいてくださり、リアクションを示してくれています」(藤森氏)

安全運転のチェックや乗物運転のシミュレーション、ゲームや医療など多くの業界からも注目が

「GazeSense」の可能性に気づき、スタヂオ・ユニに相談を持ちかけてきたのは電鉄用のシュミレーターツールを開発している会社だった。何に用いるのかといえば、電車の運転を疑似体験するシミュレーターによる運転士の訓練。電鉄に限らず、交通の世界では自動車や航空機もシミュレーターを運転や操縦のトレーニングに用いている。車窓を模したスクリーンにバーチャルな風景の動画を映し出し、本物と変わらない運転装置を動かして実技を練習するわけだが、いったい「GazeSense」をどう使うのか?

「優秀なベテラン運転士の目線の配り方というのを『GazeSense』によって感知し、そのデータを新人たちの技術向上のために提供していくのだそうです」(藤森氏)

「交通機関で運転や操縦に関わるプロフェッショナルは、多くの乗客の命を預かる仕事。操作時の目の動かし方ばかりでなく、いつどこを見ることで安全確認をより徹底できるのかなど、参考になることはたくさんあるのだと聞きました」(岡部氏)

 ドライブレコーダーを稼働させていれば、ドライバーの姿や動きは記録できるが、例えば疲労によって視線が定まらなくなったり、座った目で運転していたりしても、そこまでは感知できない。「GazeSense」に接続したカメラでドライバーの視線を注視し続ければ、事故を未然に防ぐことも可能になるというわけだ。

「事実、物流会社さんからもそうした問合せをいただいています。またゲーム業界からは、『ゲーム内で今まで以上にインタラクティブな体験ができる』というお話をいただいてもいますし、医療の領域からは、老化や病気などが原因で口や手による感情表現や意思疎通が難しくなったかたに、目の動きを活用したコミュニケーションを提供できるのではないか、などという話もうかがっているんです。そのほか、PCメーカーやeスポーツの業界などからも注目していただいています」(藤森氏)