“視線をとらえる技術”に多様な業界が熱視線を送る

ヒトが無意識に向ける視線の位置情報を3D感知

森川 直樹/2020.10.20

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「我々も当初はピンと来なかったのですが、例えば百貨店やスーパーの売場で『GazeSense』を用いた場面を想像した途端、可能性の大きさに愕然としたんです」

 こう語るのは同じくスタヂオ・ユニの藤森譲氏だが、たとえ話の通り実行した場合に何が起こるのかといえば、「来店客がどの商品棚のどの位置に目線を多く配っているか」が判明する。つまり、小売事業者の最前線にいる人々が何よりも重視する“棚割り”を、カンや想像ではなくデジタルデータで計測・蓄積・分析できるのだ。市販の3Dカメラを用いることで目線の位置を上下前後左右で的確に判読できる。すなわち、「右から2番目の陳列ケースの上から3番目の棚。その一番手前に置いてある商品に来店客が最も多く視線を向けていた」などという事実を手に入れることができる。リアル店舗におけるセールスおよびマーケティング戦略には強力な武器となるのだ。

「当社はもともと広告やコンテンツを制作するクリエイター集団で、特に小売業界のお客様と長年信頼関係を築いてきました。そんな中、既存の事業だけでなく、より時代に見合った付加価値をお客様に提供したいと考え、可能性のある技術をITやデジタルの最前線で模索していたんです」(岡部氏)

 そうして出会ったのが「GazeSense」とのこと。しかしこの技術、本当に今までなかったのか?

「類似したものはあります。でもそれは、例えばカメラに映った人間の顔の向きで推測する程度。つまり本当の意味でその人の目を追いかけているわけではありませんから、正面を向きながら横目でチェックしているような場合は判読できません」(岡部氏)

「他にも大手コンビニチェーンなどでは、ゴーグルを用いたツールでシミュレーションを行った事例もあります。ゴーグルに内蔵されているセンサーが、装着者の視線の方向をキャッチするというものなのですが、残念ながらゴーグルを付けての実証実験となれば、どうしたって人間は意識します。リアルなお客様の自然な目線を確実にキャッチできる技術という点では、この『GazeSense』はまさに画期的なんです」(藤森氏)

株式会社スタヂオ・ユニ ビジネス開発事業部 シニアコンサルタント 藤森 譲 氏