DXをてことしたYOKOGAWAの経営改革の取り組み

100年を超える歴史の中で変革を繰り返しながら成長した横河電機

JBpress/2020.10.12

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本コンテンツは、2020年8月31日に開催されたJBpress主催「Digital Innovation Forum 2020 <夏>~デジタル変革によるイノベーションの実現~」での講演内容を採録したものです。

横河電機株式会社
代表取締役社長
奈良 寿 氏

システムの再編とデータ統合は急務

 本日はDXによる横河電機の経営改革を事例とともにお話します。はじめに当社について簡単にご紹介します。YOKOGAWAグループはB2Bの製造業で、現在は、制御事業が売上高の9割を占め、約7割が海外での売上です。従業員数は約1万8000名のうち6割超が海外となっています。

 石油、ガス、化学、鉄鋼、紙パルプなどのエネルギーや素材産業、食品、薬品などのお客様に、プラントの頭脳ともいえる制御システム、センサ、分析計や、生産活動全体の最適化を支える各種のソフトウエアを提供し、OT(Operational Technology)とIT(Information Technology)を融合させたソリューションとコンサルティングでお客様を支援しています。

 創立以来100年以上の歴史のなかで、事業構成比を大きく変えており、海外展開にも力を入れるなど、外部環境や社会のニーズの変化に柔軟に対応して持続的に成長してきた会社であると言えます。

 当社ではこうした歴史を踏まえつつ、企業理念でもある「より豊かな人間社会」の対象を未来世代に拡大するために、2050年に向けた、長期目標としてサステナビリティ目標「Three goals」を掲げています。気候変動に対応する「Net-zero Emissions」、全ての人の豊かな生活を実現する「Well-being」、資源循環と効率化を進める「Circular Economy」の3つです。

 今日の本題であるDXに関する取り組みとしては、社内の業務プロセス変革とITインフラの強化によって成長基盤を確立するInternal DXを進め、そこで得た知見をもとにお客様の生産性革命を支援するExternal DXへと発展させることを目指しています。

 DX化においては多くの企業が課題を抱えています。これまでボトムアップで構築してきた、個別のプロセス・オペレーション・システムを、お客様視点・パートナー視点・社員視点で再編することが急務となっています。

 データ統合の進捗度合いで見ると、例えば製造業ではバックオフィスのIT領域のデータ統合、クラウド化が進むなか、工場・プラントなどのOT領域でも、IIoT(Industrial IoT)やAI活用でデータ統合が進み、その一部はクラウド化の波が来つつあります。

 データ統合の最終形は、1つの企業内の自動化にとどまらず、企業を超えた自律化へ向かうトレンドになると予想しています。自律化が進めばプラント自体が学習して適応する機能を持つようになり、人間はより高いレベルの最適化に取り組むことが可能になります。

 当社ではこの自律化に向けたトレンドを、これまでのIndustrial AutomationからIndustrial Autonomy、IA2IAと呼び、これにむけた取り組みを既にスタートさせています。

 事例をご紹介する前に、COVID-19を踏まえた現状認識についても共有させていただきます。COVID-19によってさまざまなリスクが顕在化した一方で、当社においてはリモートエンジニアリングの拡大やリモートメンテナンス契約の増加など、新たな機会の増加傾向が顕著です。COVID-19を契機とする変化は当社にとって次なる成長の機会と考えています。