食生活を支える購買の新しい形

 スーパーでの買い物は、新たな食材やお買得品の発見、食材を評価・選択する喜びがあるが、日常品を購入する目的から考えると、買い回りしたりレジで並ぶことは、時間活用や感染リスクの側面から見ると、デメリットもある。

 一方で、ネット購入宅配サービスは便利ではあるが、利用者は宅配を受け取る時間制約があり、事業者は個別宅配の手間や再配達リスクがあるなど、社会全体の効率を考えると改善の余地が考えられる。物流業界における深刻な人手不足の状況下で、今後も社会システムとして機能するためには様々な課題を解決する必要がある。

 サービスを受ける側の利便性向上を図ることは重要であるが、サービス提供事業者の効率性など、社会全体での最適性を考慮した新しいシステムが必要と考える。

 では、QOL向上の新しい食生活スタイルとして、どのような取り組みが必要となるのか? 生活者のニーズ充足度(付加価値)を向上させること、食事関連コストと社会負荷の最適化を図ることの2つを同時実現する取り組みを考えてみる。

(1)生活者のニーズ充足度(付加価値)を向上させる

 生活者のニーズ充足度は、購入から調理・食事のプロセスにおいて、どんな価値を見出すか? 例えば、自分好みに対応してくれるカスタム対応した食事や、購入~調理にかかる時間の有効度とリスク低減など考えられる。食事準備をできるだけ効率化しつつ、作りたての食事を作りたい場合は、下ごしらえ済みの食材キットを購入し、自分好みの味付けで手早く調理することで、食事レベルを維持しつつ、食事準備以外のプライベート時間の充実を図ることが可能になる。

(2)食事関連コストと社会負荷の最適化を図る

 一方、ニーズを充足するための食事関連コストと社会負荷をどのように適正化するか? については、コストだけでなく環境など社会にどのような影響を与えているか? まで考慮することが重要となる。具体的には、物流の人材不足の中で、食品宅配を日常的に活用すべきなのか? 食品ロスが発生しにくい食材の購入方法とは何か? 環境負荷が低いパッケージ、配送とは何か?ということを考える必要がある。