ボッシュ、P&G、アマゾンが挑むAI時代の業態変革

現状維持は衰退、CES 2020に見る企業の「なりわい」革新

朝岡 崇史/2020.2.14

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 今年のCES 2020では、「○○業へ」という形で明言はしなかったものの、2021年からの「WOVEN CITY」建設を前提に「移動しやすい街づくりのディベロッパー」へとさらに進化することに含みを持たせたことは大きなインパクトを残したし、日本人としての矜持を実感した人も多かったのではないだろうか。

「なりわい」が希薄化するソニーとパナソニック

 逆にCES 2020で残念に感じたのが、ソニーとパナソニックの2社である。

 下の写真をご覧になってほしい。上がCES 2014のソニーの展示ブース、下が同じソニーのCES 2020の展示ブースの風景である。

 2つの写真を見比べれば一目瞭然だが、2014年はまだ「高画質なオーディオ・ビジュアルを中核にエンタメコンテンツやゲームを取り込む」という世界的にもユニークな「なりわい」を誇示していた頃のソニーの姿であり、逆に2020年は「コンシューマ市場においては事業の柱が不明瞭」になり次の「なりわい」が見出せない、悩めるソニーを象徴する現在の姿である。

CES 2014のソニーブース(上)とCES 2020のソニーブース(下)(筆者撮影)

 また、ソニーは伝統的に強いインスピレーションを放つブランドメッセージをロゴの横に表示することで、筆者のようなソニーファンを魅了し続けて来たが、CES 2020ではブランドメッセージすら消滅していたことは驚きを禁じ得なかった。

 ちなみに、CES 2014の時に採用されていたブランドメッセージ「make.believe」はソニーが「創業以来持ち続けてきた、豊かな想像を現実に結びつける」という企業ビジョンを体現したものである。

(参考)「make.believe」の導入(ソニーの報道資料より)
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200909/09-100/

 厳しい状況はパナソニックも同様だ。北米ではコンシューマ向けテレビ事業から撤退してしまったこともあり、コンシューマとのタッチポイント(接点)の少なさが「なりわい」の希薄化にさらに拍車をかけているように見えた。

 ブースでは、東京2020オリンピック・パラリンピックに関連付けた放送用機器、ロボティクス、コネクテッドなスポーツカー・バイク・商用車、ホームセキュリティ、センシング技術とAIを融合させたメンタルヘルスなど展示品のアイテム数こそ多かったが、そこには「共通のベクトル」や「企業としての鮮明な生きざま」を感じ取ることは難しかった。

 過去の成功体験が「成長を阻む負債」になるべきではない。

 現状維持は衰退だが、同時に企業の「なりわい」について近未来の「ありたい姿」を構想する力が弱いとブランド力の低下は免れないだろう。

 CESが最先端テックのプレゼンテーションの場であるだけでなく、企業の中長期の経営戦略を自ら問い直す場でもあることを改めて実感したラスベガスでの数日間であった。